シワにならない浴衣干し クリップ付きハンガー活用
洗濯家 中村祐一
夏祭りの季節も一段落した。この夏に着た浴衣のお手入れはもうお済みだろうか?
最近の浴衣は家庭で手軽に洗えるものが多く、洗うのはさほど難しくない。ただ、アイロンがけはややめんどくさいと感じる読者も多いだろう。今回は浴衣の洗い方に加え、アイロンをかけなくてもキレイに仕上がる干し方を紹介したい。
まずは汚れをチェックする。浴衣で汚れやすいのは3カ所ある。まずは襟元だ。汗汚れや、ファンデーションの汚れが付きやすいのはご存じの通り。次はたもとで、気付かぬうちに食べ物の汚れなどが付くことがある。最後は裾だ。地面にすれて黒っぽい汚れが付くほか、突然の夕立などに打たれていれば泥はねも気になる。
いずれも洗剤を直接塗ってよくなじませたあと、30~40度のぬるま湯で流すとよい。洗剤はおしゃれ着用のものでよい。洗剤に原液を塗らないよう表示がある場合は、食器用の中性洗剤を約10倍に薄めて使ってもよいだろう。
シワを防ぐため、全体を洗うときは軽くたたんで洗濯ネットに入れる。浴衣がキレイに納まる四角形のネットがおすすめだ。
ネットに入れたら、洗濯機で「ドライ」や「おしゃれ着」、「ソフト」といった優しく洗うコースを選ぶ。このとき脱水時間を1分に設定すると、きついシワはほとんどつかずに済む。
洗い終わったら干す。ポイントは浴衣の袖を広げることだ。突っ張り棒などの細長い棒を用意してほしい。ズボン用のクリップ付きハンガーがあるとキレイに干せるうえ、アイロンなしでもまっすぐに乾く。
棒を袖から反対側の袖まで通し、クリップで首元を留めてハンガーをかける。さらに、袖の下側にもハンガーを使う。袖が長方形になるよう整えて、クリップで張りをつくりながら留める。可能なら裾もクリップで留めてほしい。
浴衣全体の長方形がキレイに出るようにクリップで留めて、ぶら下げたハンガーの僅かな重みを利用し、張りを保ったまま乾かす。これでアイロンをかけなくてもキレイに仕上がるはずだ。
乾いた後にクリップの跡が気になるようなら、霧吹きで軽く湿らせて指でなじませれば目立たなくなる。これまであまり浴衣を着ていなかった人も、楽でシワにならないお手入れ法を知って、これからの秋祭りや来年の夏祭りを浴衣姿で楽しんでほしい。
1984年生まれ。クリーニング会社「芳洗舎」(長野県伊那市)3代目。一般家庭にプロの洗濯ノウハウを伝える「洗濯家」として活動。「洗濯王子」の愛称でメディア出演も。
[日本経済新聞夕刊2019年9月3日付]
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