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シャキシャキ、甘酸っぱさ絶妙 安曇野林檎ナポリタン

2019/8/29付 日本経済新聞 夕刊

「ピンクレディー」という品種を使い千切りに(美里)

北アルプスの麓に田園風景が広がる信州・安曇野。安曇野市や飲食店は地域おこしで特産のリンゴを使った「安曇野林檎ナポリタン」を企画、提供している。リンゴはスイーツに欠かせない果物だが、意外にもパスタにマッチして絶妙な甘酸っぱさになる。

林檎ナポリタンは安曇野市のB級グルメ開発事業がきっかけとなって生まれた。安曇野調理師会などが協力し、2013年のイベントで披露されてから地元の店舗で提供する動きが広がった。

ホテルアンビエント安曇野は夕食バイキングで提供している。「安曇野だからリンゴでどうかと言われ、最初はどう料理しようか周りに相談した」。こう話すのは洋食料理長の太田将治さん(50)だ。パスタとリンゴの組み合わせは聞いたことがなかったが、今は「いろいろ手を出していかないと進歩しない」と笑う。ケチャップではなく、ホールトマトでタマネギとともにいため、リンゴの風味を引き出している。

「エチュベ」という調理法で保存したリンゴをのせたナポリタン(ラヴニール)

林檎ナポリタンはリンゴの収穫時期に出す店が多く、18年秋時点で14店が参加している。ただ同ホテルのように通年提供する店も少なくない。

フランス料理のラヴニールのオーナーシェフ、増田宏さん(50)は「季節限定では広まらない」と話し、「エチュベ」という調理法でリンゴを蒸し煮して冷凍保存している。「リンゴがケチャップを吸いにくくなり、リンゴの味が強く出る」。食感を味わうためにパスタの上にのせた角切りリンゴは確かに甘みが増していた。

林檎ナポリタン提供店を示すペナントを持つばんび代表の金井さん

食事処美里は「ピンクレディー」という品種を使っている。鮮やかなピンク色で変色しにくい。ナポリタンの上に千切りされたリンゴがのっており、そのまま食べようとすると、オーナーシェフの北林智紀さん(41)が「よく混ぜて。口の中で味が完成する」。口の中でシャキシャキ感と甘酸っぱさが味わえる。

新規参入も増えてきた。18年から本格的に始めた旬彩ダイニングばんびは、軽く煮込んだリンゴに、ハチミツやリンゴジュースなどで作ったソース、平打ち麺を使うのが特徴だ。代表の金井美和さん(41)は「ソースがのりやすく味が絡みやすくなる」。

リンゴはそろそろ収穫時期を迎える。金井さんは「その時期のリンゴを使う。旬の変化を味わえる」と話す。秋が深まると、林檎ナポリタンは多彩なリンゴを楽しめる。

<マメ知識>減反政策で栽培広がる
長野県のリンゴ栽培の歴史は明治時代に遡るが、安曇野で本格化したのは1960~70年代だ。土地改良事業が進み、減反政策もあってリンゴ畑が増えた。標高が約700メートルと高くて雨が少なく、昼夜の温度差が大きいことが栽培に好適だった。さらに品種が「国光」「紅玉」から現在主力の「ふじ」「つがる」が普及し始めた時期に当たり、一気に広がった。栽培農家の努力もある。太陽光をふんだんに当てる無袋栽培、高木の樹木を小型化した「わい化栽培」を積極的に導入し、生産力が高まったという。

(松本支局長 竹内雅人)

[日本経済新聞夕刊2019年8月29日付]

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