持ち帰りで会社員のランチもつかむ びっくりドンキー
ハンバーグ専門店「びっくりドンキー」を展開するアレフ(札幌市)が、JR川崎駅近くの商業施設「川崎ルフロン」のフードコートに出店した。持ち帰りにも対応することで、近隣で働く会社員などを取り込んでいる。今までロードサイドに出店し、家族連れが客層の中心だったびっくりドンキーが、客層の幅を広げようと攻勢に出ている。
川崎ルフロンの2階に4月27日開業した「びっくりドンキー ポケットキッチン 川崎ルフロン店」。近隣にはオフィスが多いことから、昼食時には会社員の来店が目立つ。ロードサイドの通常の店舗ではほとんど見られない女性の一人客も多い。フードコート業態として初めて持ち帰りにも対応した。
アレフは近年、ショッピングセンター(SC)などのフードコートへの出店を強化している。狙いはロードサイドの大型店舗は取り込み切れていない一人客や車を持たない若年層の集客だ。フードコート業態は出店コストが通常店舗に比べ半分以下のうえ、商業施設自体の集客力を背景に幅広い客層を取り込めることから、2023年までに25店舗の展開を目指している。
料理の提供時間を短縮するため、フードコート業態ではハンバーグを両面から焼ける機械「両面焼きグリドル」と、ボタン一つで自動で所定の量のご飯が皿に盛り付けられる「ライスロボ」を導入した。これらの設備の導入で提供までの時間が通常に比べて約半分に短縮。1店舗当たり月に約90時間分の人件費削減につながったという。
通常店舗に比べてメニューも絞る。主力のハンバーグは取りそろえるものの、サイドメニューはフライドポテトなどの一部に限定し、ピザやサラダ、パフェなどは提供していない。
持ち帰りに関して川崎ルフロン店では同社で初めて紙製の容器を使い、環境にも配慮する。「おかずとして買って帰り、ご飯は自分で用意したいという客も多い」(広報室の松本総一郎リーダー)ことから、ハンバーグとライスのセットだけでなく、ハンバーグのみを単体で購入できるようにすることも検討しているという。
フードコート業態に対しては、びっくりドンキーの店舗の6割を占めるフランチャイズチェーン(FC)オーナーからも期待は大きい。松本リーダーは「FCオーナーからフードコート店をやりたいとの声があるため、まずは直営で業態として確立して、FCにも広げられるようにしたい」と話す。
一方でフードコートは契約期間が6年と従来の店舗の10~15年と比べて大幅に短いことに加えて、売り上げが下がることになれば集客力を重視する商業施設側から撤退を要請される可能性もあるなど、不安定な要素も少なくない。
好調な店舗の傾向を入念に分析することやフードコート用の商品開発などを通じて競争力を高め、新たな店舗展開の柱としてまずは関東と関西の商業施設に積極出店していく。
(札幌支社 光井友理)
[日経MJ2019年8月28日付]
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