米国庶民の味、ランチの定番 ホットドッグ160円
米国の国民食の1つでもあるホットドッグ。観光客、時間のない苦学生、お財布に余裕のない労働者にとっては、ランチ定番という位置づけだ。立ち食いもでき、安価、安定した味という庶民性が支持されている。物価上昇が続くものの、探せば1本1ドル50セント(約160円)から食べられることが魅力だ。
ニューヨーク市のセントラルパークを観光で訪れた人が目にするのはホットドッグやプレッツェル、砂糖でからめたピーナツを販売するフードカートだ。公園内で販売する業者はホットドッグを一律3ドルで提供する。
ホットドッグ・チェーンとしてニューヨークで一番浸透しているのは、毎年7月4日独立記念日に観光地のコニーアイランドで「早食いコンテスト」を主催するネーサンズ。観光客が集まるミッドタウン地区では大きなカートに看板を掲げ販売する。1個3ドル50セントはまさに観光客値段で、コニーアイランドまで遠征すれば2ドル49セントで済む。
バラク・オバマ氏が大統領在任中、ワシントンDCの老舗ホットドッグ店を訪れ、市民と語らいながらほおばったのは米国では有名だ。それほど、米国人にとってホットドッグは、日本人の立ち食いそばのようななじみ深い食べ物である。30年ほど前はホットドッグの価格は1本1ドルほどで、今でもランチ物価の物差しともなっている。
ソーセージとパン、ケチャップ、マスタード、ピクルス、少しぜいたくにするなら酢漬けキャベツ、刻みタマネギなどをかけるだけの超シンプルな味。それでも大抵の売店で扱うほか、大学構内には授業の合間に立ち食いですませられるように、専用のスナックスタンドも備える。
各所で価格上昇が見えてきたホットドッグだが、価格を30年以上維持し、消費者の隠れた味方となるのが会員制卸売販売のコストコ。フードコートでホットドッグとソーダ飲料をセットで販売するが、価格は1985年から変わらず1ドル50セントを貫く。
コストコは店舗の入り口近くで提供するのが一般的だ。これが買い物を終え、小腹が空いた顧客に人気を呼んでいるようだ。
(ニューヨーク=河内真帆)
[日経MJ 2019年8月26日付]
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