健康・医療

病気・医療

夏の目の充血や目やに、感染症かも 高齢者も注意 プール熱・はやり目は、治療薬なく合併症も

2019/8/21付 日本経済新聞 夕刊

夏にかかりやすい感染症の代表例といえばプール熱(咽頭結膜熱)や流行性角結膜炎(はやり目)だ。アデノウイルスと呼ばれるウイルスによる感染症で、実は子どもだけでなく、体力が落ちている高齢者もかかりやすい。ワクチンや有効な治療薬がなく、合併症を引き起こす可能性も高い。飛沫や接触による感染で広まるため、その経路を断つ対策が欠かせない。

タオルの交換などをこまめに実施して感染症を予防する(東京都昭島市のニチイホーム昭島昭和の森)

8月上旬。東京都昭島市の介護施設では職員がテーブルの下、いすの背もたれ、車いすの持ち手などをアルコールで丁寧に消毒していた。単なる清掃にとどまらず消毒を徹底するのは、日ごろから感染症に対する危機意識があるためだ。

「冬だけでなく、この時期も感染症に気をつけている」。ニチイホーム昭島昭和の森の高橋康平ホーム長は話す。夏場の介護施設で起きる問題といえば食中毒がまず思い浮かぶが、感染症についても細心の注意を払う。消毒と手洗い、手袋の着用は介護施設で働く職員の大切な心得だ。入居者の健康を守るためには欠かせないという。

アデノウイルスは鼻や喉、目などから入り、風邪のような症状を引き起こすウイルスだ。発熱にとどまらず、目や耳、鼻の炎症、嘔吐(おうと)や下痢などさまざまな症状が出る。ウイルスの種類や型によってプール熱、はやり目、感染性胃腸炎など複数の症状が現れ、高齢者が特に注意すべきは、はやり目だという。

38度以上の高熱が続く、喉が赤く腫れる、目が赤く充血する――などが主な症状だ。国立感染症研究所の藤本嗣人・感染症疫学センター第4室長はアデノウイルスについて「最大の特徴は感染力が非常に強いこと」と説明する。感染経路もさまざまで「せきやくしゃみといった飛沫感染だけではない。汚染された水、タオルや手を通じても感染する」というから厄介だ。

感染力の強さは、いったん感染すると1カ月は体内に居続けるしぶとさにも表れている。一度感染すると潜伏期間が1週間、症状も1週間近く出る。熱や炎症などの症状が消えても、尿や便などから、ウイルスが2~3週間は出続けるという。

そのため、オムツ交換時にも注意が必要だ。介護が必要な高齢者はオムツ着用の人も多い。ニチイホームでは「オムツ交換を終えた段階で、エプロンや手袋の交換を徹底している」(看護師の小幡和代さん)。

そして、最大の問題はワクチンや治療薬が存在しないことだ。結膜炎は目薬、咽頭炎は抗炎症剤の服用などで対処するしかない。

どうすれば、アデノウイルスによる感染症を予防できるのか。対策の一つが手指の消毒だ。階段の手すりやエレベーターのボタンなどに付着したウイルスに触れ、その手で目をこすったり、触ったりすることで感染するケースは多い。流水とせっけんでよく手を洗うだけでも、ウイルスを落とす効果があるという。

健康・医療 新着記事

ALL CHANNEL