夏こそ窓や網戸を水洗い 遊び感覚で爽快感
生活コラムニスト ももせいづみ
暑い夏休み期間、家の中で家事や子育てに向き合うのは本当に大変だ。一人暮らしをしている高齢の母も気になる。熱中症で搬送される方の約半数は、屋内で発症している。たかが家事と思うかもしれないが、日常の小さな家事も、想像以上に重労働なのだ。
というわけで、暑い季節は食べること、服を洗うこと、食中毒対策の衛生管理以外の家事はもう放棄してよいと思う。すべて涼しくなってからと割り切って、体力を温存しておこう。
それでもいろいろ気になってしまう人は、夏だからこその家事をたまのイベントとして楽しむ工夫を。おもしろがるコツは、「普段と違うやり方でやってみよう」。
年末におそうじの外注を頼むとよく見られる風景の一つが、窓ガラスや網戸の水洗い。寒い冬には避けて通りたい方法だけれど、暑ければ水遊びのようで楽しいし、何より拭き上げる手間もなく、すぐ乾いてしまう。庭やテラスがあれば、網戸を取り外してホースで水をかけて丸洗いしてしまおう。男手があればぜひ頼りたい。ほかにも普段は洗いにくいゴミ箱なども、一緒に洗ってもらおう。
風呂上がりにお風呂の残り湯に重曹を1カップほど入れて、桶(おけ)や椅子、せっけん入れなどを全部放り込んで一晩置く。翌日軽くこすり洗いをするだけで汚れが落ちるので、この作業をしながら普段手がまわらない風呂の天井や排水口などを大そうじするのも手だ。子どもに水着を着せて水シャワーでやってもらえば、遊び感覚で楽しめる。
カーテンなどの大物も風呂の残り湯に浸して、足踏み洗い。レースのカーテンなら、脱水してそのままレールにつけておけば、数時間で乾いてしまう。家事だと思うと重労働だが、水遊びだと思えば大人でも意外と気持ちがいい。
特別な道具を仕入れて、いつもは手が回らない汚れ落としに挑戦するのもおもしろい。おそうじのプロがよく使っているガラス用のスクレーパーを試してみよう。IH調理器のガラストップにこびりついた汚れや焦げ、浴室の鏡のウロコ汚れなどがよく落ちる。コーティングされたガラスへの使用は注意が必要だが、どうしても落ちなかった汚れがきれいになるのは、かなりの爽快感だ。
ホームセンターにはこうした様々な道具や、業務用の洗剤類も売られているので、いろいろ調べながら買って試してみるのも楽しい。大人も子どもも、夏休みの宿題気分で取り組んでみては。
家が散らかって汚れていても、小さな達成感があれば元気に暮らしていける。ひとつだけ取り組んだら、早めに終わらせてあとはゆっくり休んで。とはいえ、暑い国の人はそもそも、せかせかと動き回らない。何もしなくても問題なし! 無理せず乗り切って。
こう考えよう。
東京都出身。暮らし、ライフスタイルを主なテーマとするコラムニスト。本コラムを含め、自著のイラストも自ら手がける。「新版『願いごと手帖』のつくり方」(主婦の友社)、「やれば得する!ビジネス発想家事」(六耀社)など著書多数。
[日本経済新聞夕刊2019年8月20日付]
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