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すぐ使えるように購入時に設定までする配慮が強み

西日本最大の繁華街、なんばの駅ナカにある「エレコム ekimoなんば店」。マウスやスマートフォンの保護ケースなど周辺機器を主力とするエレコムの直営店である同店には、暖かみのある照明の下、目を引くカラフルな商品群が並ぶ。エレコム商品のアンバサダーとして活躍するのが、店長の牟田和馬さんだ。

「日常のお出掛けでも、旅として捉える」。牟田さんは店づくりのコンセプトをこう話す。同店でそろえるのは、同社のブランド「オフトコ」のリュックや、外出先でも充電可能なモバイルバッテリー、ワイヤレスイヤホンなどの商品。「ちょっとしたお出掛けが楽しくなるように」というコンセプトのもと、全て自社で企画している。

エレコムの主要販路である家電量販店とはあえて異なる雰囲気にし、おしゃれな雑貨屋のような店づくりをすすめる。主な客層は20~30代だが、週末は家族連れでもにぎわうほか、旅行中の外国人の姿も目立つ。

接客では徹底したお客さん目線を目指している。専門用語を極力使わないようにし、スマホの充電ケーブルを「線」と呼ぶ客がいれば、牟田さんも線と言う。充電器を探している客がいれば、差し込み型か持ち歩き型かを丁寧に説明。「ACアダプターやワイヤレスなど、わかりにくい言葉は使わない」という。

ワイヤレスイヤホンの購入者には、その場で近距離無線通信「ブルートゥース」の設定もする。スマホの保護フィルムは、ずれたり空気が入ったりしてうまく貼れないことが多いが、経験豊富な店員がその場で貼り付ける。通常は販売時にフル充電でないことが多いモバイルバッテリーも常に満タンで提供。全て買い求める人への配慮からだ。

周辺機器を扱う店らしからぬ、アパレル店のような大きな鏡も設置している。リュックだけでなく、スマホの保護フィルム、カードケースなどの小物でも似合っているかどうか確認できるようにする。また、ほとんどの商品で展示品を用意しており、実際に使ってみることができる。

来店客の反応を見ながら、毎週のように商品の配置も替える。夏が近づけば、水色など爽やかな色の商品を見やすい位置に置く。あまり売れていなかった色のモバイルバッテリーを店の外からでも見える場所に置いたところ、販売が2倍になるなど効果が出ている。

牟田さんは定期的に他の店もまわりながら、商品の配置方法などの改善に取り組んでいる。現在、2歳と0歳の2児の父で、休日は家族と雑貨屋などを巡り、妻の意見に耳を傾け、子どもの純粋な反応からも店舗デザインのヒントを得ようとするなど、店づくりの研究に余念がない。

マウスやキーボードなどの周辺機器は、どちらかと言えば味気ないと見られがち。しかし、牟田さんは「エレコムは、実はこんなに使い勝手がよくて、こんなにデザインも素晴らしい商品がたくさんあると知ってもらいたい」と話す。

(川井洋平)

[日経MJ2019年8月19日付]

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