『不器用な人ほど成功する』 司法浪人時代に心の支え文部科学相 柴山昌彦氏

柴山氏と座右の書・愛読書
柴山氏と座右の書・愛読書
本との出合いは、学生時代の恩師の影響が大きいという。
しばやま・まさひこ 1965年生まれ。90年東大法卒。住友不動産、弁護士を経て、2004年に衆院初当選。埼玉8区、当選6回。18年10月から現職。

小学校3、4年の時の先生が教育熱心で、学びの成果の「見える化」を進めておられた。漢字の書き取り試験は「漢字電車」。満点を取った人の名札が駅を一つ進み、誰が山手線を最初に1周するかを競わせました。夏休みの宿題で、読書感想文を1冊につき1枚書くというのが出ました。僕はけしかけられると乗ってしまうタイプ。負けず嫌いでもあった。78冊を読んで、78枚の感想文を積み上げて1番になりました。

「新潮文庫の100冊」の名作も読みました。通っていた私立武蔵中学・高校の国語の先生は、教科書を使わないユニークな方でした。お薦めの本を黒板に書き出し、授業で中島敦の『李陵・山月記』や志賀直哉の短編集などを輪読しました。夏目漱石や太宰治の暗いトーンの本ばかり続けて読むと気がめいるので、『伊豆の踊子』『走れメロス』などの楽しい本も入れてバランスをとっていました。

思い出の一冊は、藤原正彦さんの『若き数学者のアメリカ』です。高校2年生の時に代々木ゼミナールに通い始め、国語の先生に紹介されました。藤原さんが若い頃に米国の大学で教えていた1970年代は、リベラルな学生運動やベトナム戦争がありました。海外留学はまだ難しい時代に、数学者として米国でどうやって教授ポストをつかみ、自由を謳歌したとか、躍動する体験談がつづられています。大学の先生の使命は教育なのか研究なのかといった若き研究者の将来への不安も書かれている。文部科学省には現在「トビタテ!留学JAPAN」という支援プログラムがあります。この本で感じた海外への憧れを思い出します。

弁護士をめざした勉強中に、運命の一冊と思える本に出合った。

司法試験は良いところまで行くけどあと一歩及ばないことが続きました。ふさぎ込んでいた時期に、中学・高校のクラスメートから贈られたのが中谷彰宏さんの『不器用な人ほど成功する』です。同級生は私の性格を熟知していて、「お前は決して器用なタイプじゃないが、この本に書いてあるように最終的に成功するのは実は不器用な人だ」と。最初に「器用さと根気は反比例する。不器用な人ほど、成功する」と書いてあります。器用な人は、学校時代の成績はいいのですが、あるところから逆転されてしまう。

いろんな人生訓が書いてあります。例えば「成功する人には、必ず空白の時代がある」。何をしているのか分からない空白の時代に、成功の種をまいているんだということです。自分のことを言ってくれているように感じ、大きな希望を持ちました。司法浪人時代に、この本を毎日毎日擦り切れるほど読んでいました。人生のバイブルとして挙げさせてもらいたい。

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