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癒やし求めて囲む炎 本音もあぶり出す「たき火効果」

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NIKKEI STYLE

夏レジャーの定番、キャンプ。日常から離れ、自然と触れ合う中で、メインイベントの一つがたき火だ。確かに炎を囲む時の感覚は特別な気がする。魅力を探ってみた。

大阪市の中心部、中之島や本町のオフィス街にほど近い空き地に「焚火屋火火(たきびやびび)」がある。日が傾くと客が訪れ、たき火台を囲む。オフィスビルや高層マンションの夜景をバックに、紅蓮(ぐれん)のゆらぎを眺める。パチッパチッ、コトッ――。薪(まき)と炎が奏でる調和が心地よい。星こそ見えないが高層ビルの窓明かりが瞬く。まさに都会のオアシスだ。

「癒やされるぅ」。大阪市内に勤務する女性会社員2人組が炎の揺らぎに見入っていた。たき火をしたいがキャンプに出掛ける時間も道具もない。薪の位置、くべるタイミングなど手間をかけないと炎は消える。「火をおこすのが、こんなに楽しいなんて」「自分好みの形に育てるのが楽しい」と笑顔を見せる。

オーナーの建部彰一さんが趣味のキャンプの延長で店を始めた。たき火の動画をインスタグラムに流すと「自分もやりたい」など予想以上の反響があった。「キャンプファイアの大きな炎も盛り上がるのにはいいが、落ち着きや癒やしを求めるには、たき火はちょうどいい」と建部さん。

以前は駐車場だった場所に長椅子と、たき火台。ベーコンやチーズを炙(あぶ)って食べられる飲食店ではあるが、主役はたき火。客の大半は自分たちで火をおこし、消えるまで帰らない。火は人間の原始的な好奇心や遊び心も刺激してくれるようだ。

たき火の道具は日々進化しているが、見落とされがちなのは燃料の薪だ。たき火関連の専門店「iLbf」(埼玉県三郷市)の堀之内健一朗オーナーは「たき火の魅力は光、音、香りだ」と話す。全国各地から選んだケヤキ、ナラ、クリ、サクラ。店には常に7~8種類の薪をそろえる。ケヤキはパチパチした音、エノキは青白い優しい炎、といった具合。「目的に合った薪を使えば、たき火がもっと楽しくなる」(堀之内さん)

たき火は一期一会。二度と同じ炎には出合えない。「不規則で気まぐれなところもたき火の魅力だ」と堀之内さん。ソロキャンプに挑戦する若者、子育てを終えた夫婦や子連れの父親など客層も幅広い。昨年の販売量は前年比で4割増えた。

たき火を囲んだ社員研修を手掛けるサービスも登場している。日本焚き火コミュニケーション協会(埼玉県ときがわ町)は全員で薪拾いから設営、着火、片付けに取り組む1泊2日のプログラムを提供する。メインは日没後に炎を囲んだ意見交換会だ。

「中途採用で周囲の目が常に気になっていた」。当初は言葉少なめだった30代男性が胸中を吐露した。研修はサービス業の幹部や新人、中途採用を含む社員6人。「悩みを知ることで仲間意識が強まった」(参加者)。気付けば全員が会話に参加していた。

同協会の三宅哲之代表理事は「炎を囲んで得られる暖かさは誰もが平等。たき火にあたれば役職も立場も関係なくなる」と考えている。

記者も、たき火効果を味わってみよう。たき火台、薪、トングなど約1万円。火おこしで使う枯れ葉、枝は近所の公園でたんまり調達。準備は整ったが、場所探しに手間取る。そもそも公園の大半は火気厳禁。闇に浮かぶ炎を味わおうにも、バーベキュー場ですら夜は営業していなかった。最終的に「郷土の森公園」(東京都府中市)を訪れた。

道具は大きめのカバン一つに納まった。現地での設営も問題なし。まずは火のつきやすい枯れ葉や小枝をくべて着火。メラメラメラ。驚くほど簡単に火がおきた。「火は育てるもの」。達人たちの言葉が脳裏に響く。火の勢いに合わせ大きめの薪を投入する。作業開始から2時間。午後7時すぎに理想の炎に育った。

和むぅ。ただの炎を見るだけで時間を忘れる。「会社、休んじゃおうかな……」。雑念もよぎるが、癒やし効果は堪能できた。火をおこすまでの作業も楽しい。次回はソーセージとジャガイモを持参してみよう、と心に決めた。

◇  ◇  ◇

楽しめる場所、徐々に少なく

たき火が遠い存在になったのはいつからだろう。近所の公園には「火気厳禁」の看板だらけだ。庭などの私有地でも「野焼き」は原則、法令で禁止されている。たき火は「日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なもの」(廃棄物処理法施行令)などが例外的に認められている。煙や臭いを巡る近隣とのトラブルを考えても、自由気ままに楽しむのは難しい。揺らぐ炎から癒やしを手に入れるにも、まずは、たき火のできる場所から探す必要がありそうだ。

(佐々木聖)

[NIKKEIプラス1 2019年8月17日付]

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