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認知症にも緩和ケア 痛みや不安、触れて和らげる

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NIKKEI STYLE

認知症にも緩和ケアがあるのを知っていますか。現代医学では治せない「脳の難病」に苦しむ患者の体や心の痛みをやわらげる。欧米では主流になりつつある新たな医療・介護のアプローチは国内でも広がるだろうか。

東京都江戸川区にある「IoT美しい日本のだんらん」は2018年春に開設した介護付き有料老人ホームだ。入居者33人の大半がアルツハイマー病などの認知症で、うち6割は症状が重い。ここで緩和ケアとして取り入れているのがスウェーデンで生まれた「タクティール(触れる)ケア」だ。

7月下旬、同施設を訪ねた。この日、ケアを受けていた一人は80代半ばの女性。食事や入浴、着替えなど日常生活のすべてで助けを借りなければならない「全介護」の人だ。

ケアを担当する施設長の戸倉英人さんを前に、車いすに座ったこの女性は終始、少し左前に傾き加減だった。両手への約10分間の施術中、はっきりとした言葉を発することはなかったが、終わりの方になると戸倉さんの「気持ちいいですか?」という語りかけにうなずくこともあった。

タクティールケアは半世紀以上前にスウェーデンで開発された。患者の手足や背中を包み込むようにゆっくりと優しく触っていく。国内では日本スウェーデン福祉研究所が普及を目指して活動、講習や民間資格の認定を行っている。これまでに介護士や看護師ら約4千人が資格をとった。

同研究所の取締役である木本明恵さんは「言葉や表情で表せなくても、肌同士の触れあいで会話する」と言う。

現在、日本では高齢者の7人に1人が認知症だ。アルツハイマー病へと移行する可能性の高いMCI(軽度認知障害)も含めるとその割合は4人に1人になる。超高齢化によって今後大きな問題に進展していくのは間違いないが、病気が正しく理解されていない。

例えば、アルツハイマー病は脳の神経細胞がゆっくりと時間をかけて死滅していく神経変性疾患だ。米国での報告だと、診断後、平均5年程度で死に至る。最近、肺炎や老衰で死亡する高齢者が増えているが、多くが認知症を患っている。

検査技術の進歩によって初期の段階で診断もできるようになった。が、その後の展望がみえていない。この段階では自立した生活も送れるため、将来への不安を抱えたまま、医療の対象から外れてしまう。

緩和ケアといえば末期がんの痛みをやわらげるケアと考える人は多いだろう。2000年以前は海外でもがん一色だった。しかし、がん治療が進歩し、逆に高齢化社会の到来とともに認知症が急増した。患者の診断からみとりまでをフォローするオレンジほっとクリニック地域連携型認知症疾患医療センター長の平原佐斗司さんは「欧米で緩和ケアといえば認知症がメインになりつつある」と語る。

 認知症患者への緩和ケアで大切な点は何なのか。初期の段階では病気に対する不安をどうやわらげていくかだ。認知症の診断をなかなか受け止めることができない人も少なくない。

もの忘れがひどくなり、時間や場所がわからなくなる見当識障害がでてくると、不安とともにいらだちも募ってくる。

末期になると身体的苦痛も増える。食事がとれなくなり、肺炎を繰り返すと息苦しい。床ずれも痛い。ただ、がんの患者と違い、苦しみやつらさを訴えるすべを失っている。「周りが丁寧に観察して気づいてあげるしかない」と平原さんは言う。

身近な人が認知症になって初めて、日本の医療・介護制度がこの病気に対応しきれていない現実に気づく。診断がついた後、通院しなくてよくなるのはそのいい例。みとりを前提に老人ホームに入居する人は増えているが、施設が有料ホームか、グループホームか特別養護老人ホームかによって医療のかかわり方に違いがあるのもどこか変だ。

国は6月、認知症政策の指針となる大綱を策定した。「共生」と「予防」をうたったが、患者の最期に光はあたっていなかった。

(編集委員 矢野寿彦)

[日本経済新聞夕刊2019年8月7日付]

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