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世界に一つの「マイ靴下」 無印良品、錦糸町に工房 ワクワク体験でファン作り

日経MJ

2019/8/7付

オリジナル靴下を編めるサービスで集客

「無印良品」を運営する良品計画が体験型の店作りに力を入れている。3月にオープンした「無印良品 錦糸町パルコ」(東京・墨田)では、初めて「靴下工房」を導入。来店者がデザインした柄を取り入れ、世界に一点しかないオリジナル品を作ることができるのが特徴だ。買い物だけでなく、体験を組み入れることで来店意欲を高める狙いだ。




■店内に編み機、好みの柄デザインし入力

靴下工房は全面ガラス張りで、壁面には様々な柄や色の靴下を数十種類並べる。中央には自社製品の製造にも使う編み機を配置し、店内で受注から生産までができるようにした。

顧客はまず、イヌや花などの絵や、細かい文字や模様といった好みの柄をデザインし、専用のタブレット端末に入力する。その後、靴下の色やサイズ、デザイン用の色糸を選ぶ。サイズは婦人、子供、紳士用の7種類、靴下のベースの色は婦人、子供ではグレー、紳士ではチャコールを用意する。デザインなどは店舗スタッフが付き添う。

ベースの靴下には同社の人気商品「直角靴下」を使用する。かかとの部分の角度を90度にすることでズレ落ちにくく、履き心地が良いのが特徴だ。絵のデータを機械に送ると、この直角靴下にデザインなどを加えて編み始め、10日ほどで世界に一つしかない靴下が完成する。

価格は無地が1足400円、柄入りは600円と手ごろで、「贈り物として利用する人が多い」(早川正樹店長)。完成した靴下のラベルには「MADE IN 錦糸町」とプリントし、ものづくりの街として栄えた墨田区をアピールして、地域密着の店であることを打ち出した。

■商品力+新たな魅力で来店意欲を高める

シンプルで良いモノを開発するのが身上の同社。ただ、近年は布製品に刺しゅうを入れるサービスを始めるなど、従来とは異なる取り組みに力を入れ始めた。

4月には東京・銀座にホテルや青果販売を取り入れた「無印良品 銀座」をオープン。世界の家庭料理にヒントを得た創作料理を提供する「MUJIダイナー」も、中国・上海などで展開している。いずれも商品力だけでない新たな魅力で来店意欲を高めるほか、店内の滞在時間を長くする狙いだ。靴下工房の導入もこうした戦略の一環で、来店者は当初の想定を上回っているという。

同店では、店頭での「見せ方」にもこだわった。売り場面積が2800平方メートルと大型店に位置づけられるが、商品をただ並べるだけでない売り場作りを模索する。例えば、食品コーナーでは定番商品「バターチキンカレー」などの横に、カレーの香辛料を入れた瓶を壁のように並べた。フレグランスコーナーはしきりを設け、室内にいるような空間作りに腐心する。

モノがあふれ、ネット通販も台頭するなか、リアル店のあり方に各社は頭をひねる。良品計画はMUJIらしさを保ちつつ、客に新たな楽しさを提供することで、さらなるファン作りにつなげる。

(勝野杏美)

[日経MJ 2019年8月7日付]

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