新しい道徳『武士道』に探る キリスト教と通じる品格日中経済協会会長 宗岡正二氏

『武士道』に示された日本の精神風土は今や拝金主義、利己主義の横行で変容してしまいました。政治は票にならない「社会保障と税の一体改革」「エネルギー」などの基本政策を先送りしています。企業経営も短期収益最大化という貪欲な米国流金融資本に害され、長期経営戦略や研究開発費を軽んじていないでしょうか。

小泉が心配した「理非よりまず利害を思う」状況になっていないか心配です。新しい時代にふさわしい道徳観、モラルをどう築き、後世に伝えるか。小中学生にパソコンや英会話の授業をするより、寛容さ、謙虚さを養う躾(しつけ)、歴史や古典など良書を読ませるべきです。

米中貿易戦争を含む中国問題を考えなければならない立場にある。

ピルズベリーの『China 2049』は昨秋、ペンス米副大統領が厳しい対中演説をするきっかけになりました。当たっている点も多いといわれます。中国も改革開放の旗を降ろしたわけではないでしょう。引き続きグローバルスタンダードを順守するビジネス環境の整備をお願いしたい。

私たちは国際社会の発展と安定に向けて、世界第2位と第3位の経済大国にふさわしい責任や義務、振る舞いについて議論すべきでしょう。壊れかけているグローバリズムについても考えなければいけません。新たな秩序形成に向けて、中国を巻き込みながら日本や欧州連合(EU)が長期的な視点で健全な方向に持って行ければと思っています。


(聞き手は編集委員 中沢克二)

[日本経済新聞朝刊2019年8月3日付]

ビジネス書などの書評を紹介
注目記事
ビジネス書などの書評を紹介