自分をさらけ出して話しやすい環境を作ったうえで、相手の考えやその理由までを探る。「消費者の動向を最も敏感に感じているのは小売店など現場の人たち。売り上げなどの結果だけでは営業に生かせない」

「ペア」から「シェア」

小売店との密接なコミュニケーションが成功につながったのが18年に展開した「シェアウオッチフェア」だ。カップル向けに同じデザインで大きさが違う「ペアウオッチ」は昔からある。ただ、塚本さんは複数の小売店のスタッフから「ペアウオッチを恥ずかしがるカップルをよく見かける」という声を聞いていた。

そこで仕掛けたのが「シェアウオッチ」。カップルに同じブランドで違う時計をそれぞれで選んでもらう。ペアウオッチとは異なりお互いに時計を共有すれば、1人で2本の時計を楽しめる。

フェアでは顧客への提案方法にも知恵を絞った。サイズ調節が簡単な革ベルトを薦めるほか、自然に身につけられるように文字盤の大きさを合わせることなども決めた。現場の声を取り入れた企画書をもとに取引先を口説き、全国50店以上で展開できた。

「答えはいつも現場にあります」と塚本さんは力を込める。相手の懐に飛び込む現場重視の営業姿勢を貫いた結果、塚本さんが担当した3年間で売り上げが2.5倍に伸びた得意先もあるという。全国のシチズンの営業担当者を対象にしたコンテストでは14年から常に入賞している。

もちろん営業の成績が上がらないときもある。そんなときでも塚本さんは「とにかく楽しむことを意識している」。つらい時こそ周りとよく話すことで、相手と自分の気持ちを奮い立たせる。

(佐伯太朗)

つかもと・あきよ
2012年シチズン時計入社。14年から国内時計営業部に所属。百貨店や時計専門店向けの営業などを担当する。シチズンの採用サイトでも先輩社員として紹介されている。

[日経産業新聞2019年7月31日付]

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