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ベトナムの棒アイス40円 昔懐かし、素朴な庶民の味

日経MJ

2019/7/22付

ベトナムの首都、ハノイを代表するスイーツと言えば今も昔も観光地、ホアンキエム湖そばで売られる棒アイスだ。アイス販売専業のケム・チャンティエンの創業は1958年。75年まで続いたベトナム戦争時でもハノイ市民の食後の楽しみとして親しまれてきた。

最も混雑するのは夕食後の午後8時30分以降。店名にもなっている店舗前のチャンティエン通りは棒アイスを購入する客で渋滞を引き起こすほど。ハノイは夏場に40度を超えることも多く、暑い日にはこの店だけで1日1万~2万本を販売する。

冷凍ケースの中を除くと棒アイスがむき出しに置かれており、店員が手際よく客に商品を渡していく。店内にテーブルや椅子はない。殺風景な広い空間で家族や友人と楽しく話をしながら立って食べるのがこの店でのスタイルという。家族のために大量買いする客も目立つ。

味はタロイモやココナツミルクなど5種類。1番人気の「お米アイス」は過度な甘さがなく、素朴でどこか懐かしいさっぱりした味。価格は以前と比べて上昇しているとはいえ、1本8千ドン(約40円)から。財布に優しい庶民の味方だ。

中部の都市、ダナンから出張でハノイに来たという会社員のハー・ヌー・フォン(43)さんは「ここに来なければハノイに来た気がしない。シンプルな味でやっぱりおいしい」と話してくれた。ハノイ市内には同じようなアイスの販売店が複数あるが、伝統的な製法や味を守り続けており、圧倒的な人気を誇る。

ベトナムは6~7%と高い国内総生産(GDP)成長率が続いてる。街中に海外製のブランド品があふれ、高級スイーツも簡単に購入できるようになった。それでもハノイ市民にとっては貧しい時代に家族で食べた忘れられない味だ。食のグローバル化が進んでも素朴な味が愛され続けている。

(ハノイ=大西智也)

[日経MJ 2019年7月22日付]

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