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『論語と算盤』を味読再読 経営して気づく道徳の重み ポッカサッポロフード&ビバレッジ社長 岩田義浩氏

2019/7/20付 日本経済新聞 朝刊

岩田氏と座右の書・愛読書
会社の源流にちなむ本を繰り返し読み、経営の基軸にしている。
いわた・よしひろ 1961年東京生まれ。84年慶応大法卒、サッポロビール入社。2006年経営戦略部長、14年サッポロホールディングス取締役。17年1月から現職。

新1万円札の肖像に選ばれた渋沢栄一さんは、サッポロビール(現サッポロホールディングス)の創業と深い縁があるんです。北海道の開拓使麦酒醸造所として1876年に生まれ、大倉組商会に払い下げられた後、それを母体に渋沢さんが参画して札幌麦酒会社を設立し会長になっています。

ゆかりのある方の著書なので『論語と算盤(そろばん)』を20年くらい前に読みました。当時は単に知識として頭に入れたという感じでした。しかし経営に関わるようになって、渋沢さんの教えが思い浮かび何度も読み返しています。

会社が永続するためには何が必要か。経営戦略部門で経営計画作りなどに携わり、さらに経営戦略部長になって自問自答しました。利益が大切なのは当然ですが、やはり渋沢さんの『論語と算盤』にあるように、道徳を忘れず社会とともに歩む姿勢が欠かせません。

私が今いる会社はポッカコーポレーションとサッポロ飲料が一緒になってできました。昨年亡くなったポッカの創業者、谷田利景さんには何度かお目にかかるとともに、著書の『成功は缶コーヒーの中に』も読みました。

谷田さんは世の中に無い物を開発し続けた挑戦の人です。「ポッカレモン」をはじめ、冬場に温かい缶コーヒーが飲めるように冷温兼用の自動販売機をつくるなど、苦労をものともせずチャレンジしました。その歴史が著書に詰まっていて、創業者の思いは当社のビジョンとして引き継がれています。

歴史が好きで、事実に基づいて幅広く物事の因果関係を考える。

2006年に経済学者の中谷巌先生が主宰する「不識塾」で、仕事をしながら1年間学びました。そこで元外交官の作家、佐藤優さんに教えていただきました。佐藤さんが企画し解説も書いている『いっきに学び直す日本史』も座右の書といえます。著者の安藤達朗氏が書いた大学受験用の参考書をベースにしたもので、佐藤さんの話と併せて、歴史の見方が広がりました。

例えば、誰かが熱い志で国を変革したとしても、それは必要条件であって、その国が世界の中でどのような位置づけだったのかという十分条件も合わせてみる必要があります。

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