日常に笑いで免疫力アップ がんや認知症予防に効果

笑いを日常生活に取り込むにはどうしたらいいか。日本笑い学会副会長で医師の昇幹夫さんは「落語のDVDを聴くのもいいし、寄席に足を運んでもいい。若い頃、楽器が好きだった人は素人バンドに参加するのも手だ。好きなことをやれば笑顔になれる」と話す。

そのうえで日ごろの心得として「あいうえお」を挙げる。「あ」は会いたい人に会う、「い」は行きたい場所へ行く、「う」は歌いたい歌を歌う、「え」は遠慮はしない、「お」はおいしいものを食べる。他人の目を気にせず、やりたいことをせよという教えだ。

大阪府立健康科学センターの認知症調査をまとめた福島県立医科大の大平哲也教授は「笑い日誌」の活用を勧める。自分が1日何回笑ったかをノートに書き込むのだ。歩数を記録すると歩くことが励みになるのと同様、日誌を書くことで笑いを意識するようになる。

もう1つ、効果的なのがペットを飼うこと。人間は赤ちゃんと動物を見ると自然に笑顔になるという。大平教授は「特に犬を飼うと散歩に連れて行かなければならず、飼い主同士で会話がはずむことも多い。日ごろから笑顔になる環境づくりを心がけることが大事だ」と指摘する。

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「笑い療法士」が活躍

医療や介護の現場では、笑いで患者の自己治癒力を高める「笑い療法士」が活躍する。一般社団法人癒しの環境研究会(東京・世田谷)が認定する民間資格だ。2005年から養成しており、これまでに医療・介護従事者を中心に約1000人が資格を取った。

がんなどの重い疾患にかかった場合、多くの人はショックを受けて気落ちしがちだ。うつ病になり、本来なら治る疾患でも病状の進行を早めてしまう例もある。そうした人に寄り添って安心して笑顔になってもらい、活力を引き出してもらうのが療法士の仕事だ。

医師で癒しの環境研究会理事長の高柳和江さんは「健康寿命が注目されるが、たとえ病気で寝たきりになっても笑いを忘れず幸福と感じることは可能。その期間が『幸福寿命』だ。心の持ちようで笑って寿命を延ばすこともできる」と笑いの重要性を訴える。

(高橋敬治)

[日本経済新聞夕刊2019年7月17日付]

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