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リピーターの趣味や過去の旅行先は全て頭に入る

「お客様が求めているものとしっくりくる旅の提案ができたとき、気持ちがいい」。そう話すのは、日本旅行千葉支店の岡野佐知子さんだ。窓口での接客を通じ、顧客の趣味や家族構成などからそれぞれのニーズに合った提案をするのを得意とし、ネット経由の旅行プランではカバーしきれない、プランの充実ぶりと満足度で定評を得ている。その接客力が認められ、6月には優秀な社員に与えられる「コンシェルジュ・スタッフ」に認定された。

窓口で働き始めて12年の岡野さんは今年の認定試験でコンシェルジュ・スタッフに。重視するのは顧客のライフスタイルや趣味などから最適なツアーを選んで提案することだ。

窓口に来店する人は「沖縄に行きたい」など、行きたい場所は決まっているものの、実際にやりたいことが決まっていない人も多い。そういう人にはまず「趣味やこれまでに行って楽しかった旅行先を聞きます」という。グルメが好き、世界遺産が好き、御朱印集めにはまっているなど顧客の好みや趣味を聞きながら最適なプランを考えていく。小さな子供のいる家族旅行では、電車が多めのツアーを選んだり、子供の座席を窓に近い席に変えたりといった工夫もする。

中には「急に休みが決まって日にちが空いたが、どこに行って良いかわからない」という旅先すら決まっていない人もいるという。そうした悩みにも、これまでに行った旅行先や普段好む旅行ジャンルなどを丁寧に聞いていくことで「前回は温泉だったから今回はグルメにしようかな」といった思いがあふれてくるという。顧客の潜在的なニーズを引き出していき、最適な旅行先がぴったりはまったとき、冒頭の「気持ちよさ」を感じるという。

これまでに数千の旅行プランを提案してきたが、反省もある。足の調子が思わしくない参加者のいる家族旅行で、エレベーターに近い部屋を取ったところ、逆に「エレベーターの音が少し気になった」との感想を受け取った。事前に配慮した点を確認すべきだったと感じ、事前のやりとりをより密にするようになったという。

全国227店舗の従業員約1000人の中から14人しかいない、コンシェルジュ・スタッフとして不可欠な旅先の情報収集にもこだわりがある。最近ではネットで調べられるが、常に観光情報にはアンテナを張り、店頭ならではのお薦めを提供できるよう「旅行に行くとき、おいしかった店や楽しかった観光地を記録しておき、他のスタッフとも共有しています」。店舗の仲間と日々情報をアップデートしながら、提案力を高めているという。

今後は自らの提案力を磨くだけでなく、後進の育成にも力を入れる。千葉支店のほかの2人の従業員には、接客の合間に顧客への言葉遣いや提案の仕方などを指導する。将来的には「後輩もコンシェルジュ・スタッフに選ばれるよう指導したい」と目を輝かせた。

(長尾里穂)

[日経MJ2019年7月15日付]

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