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救急・リハビリ・開業医、病院機能分担でドクター確保

医師の働き方改革(下)

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NIKKEI STYLE

勤務医の残業時間を削ると、地域の医療体制が縮小するのではないか――。医師の働き方改革を巡り、多くの医療関係者は懸念する。医師が不足している外科など、長時間労働を前提に医療が成り立ってきたためだ。働き方改革の実現には、地域の病院を再編・統合し、医師や診療科を集約するといった地域医療の構造変革も必要になる。

「24時間すべての患者を受け入れるのは難しい」。茨城県取手市にあるJAとりで総合医療センターの太田哲也小児科部長は話す。

太田部長自身も含めて小児科医は6人。当直は月に5回は回ってくる計算だ。小児救急を担う医師が足りず、2017年から深夜は小児患者の受け入れを重症のみに絞っている。

実際、17年の時間外の外来患者数は医師1人当たりで16年比で25%ほど減少。今年6月から当直明けの医師を午前9時までに帰宅させる取り組みも試験的に始めた。これまでは当直明けも正午まで働くことが多かったが医師不足による診療制限に追い込まれた結果、働き方改革が進んだ形だ。

24時間すべての患者を受け入れる状態に戻すには、医師を倍増させる必要がある。太田部長は「今のままでは大幅に増やすことは難しい」とみる。

理由の一つは大学病院から派遣される医師が同センターを勤務先として選びたがらないことだ。「医師数が少なく労働環境が悪い」と敬遠されるなか、大学病院の協力によって、ようやく太田部長以外の5人を確保している。

太田部長は「大学病院が医師を派遣してくれなければ成り立たない。『ちゃんと医師を確保できるのか』といつも心配している」と打ち明ける。

人口当たりの医師数が少ない埼玉県深谷市の深谷赤十字病院も「大学から派遣される20代後半~30代前半の外科医がいなければ救急医療は成り立たない」(伊藤博院長)と認める。

現在、派遣された若手外科医がいる状態で、残業は当直含め年1600~1700時間。「医師免許取得後の研修医も救急や夜間に欠かせない」という伊藤院長は、技能の向上が必要な医師らに年1860時間までの残業を許容した厚生労働省の判断に理解を示す。

日本医師会は4月、救急医療を担う病院を対象にした調査結果を発表。入院治療や手術を担う二次救急病院のうち半数が、大学から派遣された医師の引き揚げを懸念していることが分かった。残業規制で派遣していた大学病院自体で医師が不足するからだ。

医師不足を緩和するための有効な手段が病院の再編や統合だ。

山形県酒田市の日本海総合病院は08年に400床の市立病院と528床の県立病院が統合して誕生した。

統合前、市立病院は病棟の老朽化が進み、県立病院は慢性的な赤字に陥っていた。統合で病床数を760まで圧縮。元の県立病院で急性期医療、元の市立病院でリハビリなど回復期医療と、役割を明確に分けた。人口減少が進むなか、不要な競争を解消し、地域医療を再構築した。

再編時の医師数は2病院の合計で112人。一時、10人ほど減ったものの、現在は160人まで増えた。統合後に看護職員や事務員などを増やして医師の業務を移管させ、働きやすい環境を整えたことが要因の一つだ。「医師が増えて当直が減るなど負担は緩和された」と島貫隆夫病院長は話す。

職員を増やして増えた人件費は「統合でコスト管理ができた結果、捻出できた」と栗谷義樹理事長は指摘する。医療機器の稼働率は上がり、手術の件数も増えた。医師が増えれば残業時間は減る。収入に占める人件費の割合は統合前の約6割から4割にまで低下し、人件費の無駄も省けた。

18年4月には同じ酒田市内の本間病院や地元の医師会などと「地域医療連携推進法人」を設立。複数の病院などを一体的に運営する法人で、日本海総合病院での透析治療を本間病院に集約するといったさらなる機能分化を進めている。

日本海総合病院は地域医療の効率性を高める改革が進めば、医師の働き方も改善できるという事例になる。ただ各地を見渡せば病院の再編や統合はまだこれからの段階だ。医師の残業時間の抑制が始まるまで5年を切り、残された時間は多くない。「働き方改革を進めるには、集団で効率化する作業が必要」という栗谷理事長は「働き方改革だけを無理に進めればつぶれる病院が出てくる」と警鐘を鳴らしている。

◇  ◇  ◇

患者の行動も見直そう

「病院勤務医の業務のうち、削れるのは外来診療だ」。勤務医などでつくる全国医師連盟の中島恒夫代表理事は病院での外来診療の中止を唱える。外来診療は開業医に担ってもらい、病院勤務医は病院でしかできない救急、手術、入院治療に専念するという主張だ。

中島代表理事は「医療機関の間での役割分担が必要」と話す。日本の医療の大原則であるフリーアクセス(患者が医療機関を自由に選べること)を制限しなければ、働き方改革は実現できないとみる。

外来診療の負担を巡っては患者側に問題があることが少なくない。

例えば、1度の来院で内科や眼科など3~4つの診療科を自己判断で渡り歩く高齢者。風邪や打撲など軽症でも診療所ではなく病院を選ぶ患者もいる。

厚生労働省は「上手な医療のかかり方」をテーマにした懇談会を設置。医療現場の過酷さや、夜間や休日に受診を迷ったらまず電話相談を活用することなどを訴える宣言をとりまとめた。医療資源に限りがあるなかで、患者の行動変容を促す視点も欠かせない。

(新井惇太郎、満武里奈)

[日本経済新聞朝刊2019年7月15日付]

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