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茨城っぽくないが褒め言葉? 変わる自治体アンテナ店

NIKKEIプラス1

2019/7/13付

茨城県の名所を紹介する映像が流れるレストラン「ばらダイニング」(東京・銀座のIBARAKI sense)=渡辺 信雄撮影

自治体のアンテナショップが「進化」しているようだ。名産品が並ぶだけの物販店から、スタイリッシュに地域の魅力を発信する拠点に様変わり。東京都内の「進化形」を巡ってみた。

渋谷駅から道玄坂を上った一角にある「Turn Table」。レストランと宿泊施設がメインの白塗りの建物は、2018年2月に開業した徳島県のアンテナショップだ。初めての人は戸惑う。県名が見当たらない。「あえて徳島を前面に出さず利用者に本質を発見してもらう」(県もうかるブランド推進課)

徳島のアンテナショップ「TurnTable」(東京都渋谷区)は味わいのあるグリーンの内装で県名産のすだちをさりげなくアピール=岡村 亨則撮影

朝食のビュッフェには徳島産の野菜たっぷりの豚汁などが並ぶ。素材の良さをどう引き出すか考えたシンプルな料理は、外国人が半数以上を占める宿泊者にも評判だ。ベッドカバーは名産の阿波しじら織りを使う。「徳島産」のさりげないアピールは自信の表れかもしれない。

都内には約60の自治体のアンテナショップが店を構え、半数が中心部の日本橋や銀座周辺の約3キロに集中する。歩いて“日本周遊”が可能だ。

銀座1丁目の街並みに溶け込む高級感のある外観に、白を基調とした清潔感のある店内。18年10月にリニューアルした「IBARAKI sense」は都道府県魅力度ランキングで最下位に沈む茨城県のアンテナショップだ。金沢康信店長は「茨城っぽくないという言葉が褒め言葉」とイメージ刷新を狙う。定番の納豆や干し芋も並ぶが、メロンなど旬の果物のギフトコーナーで高級志向も打ち出す。

スタイリッシュな雰囲気でイメージアップを狙う茨城県のアンテナショップ

茨城はサバの水揚げが日本一。サバ缶の横に、県内の酒蔵が造った日本酒や焼酎を並べると、ギフト用のセット購入が増えた。品数を従来の3000種から約10分の1に絞ったこともあり、売り上げはリニューアル前に及ばないが「知られざる名品」が従来のイメージ払拭に一役買う。

銀座は「アンテナショップ銀座」でもある。各地の物販店が集まる有楽町の「東京交通会館」の大通り一本挟んだ向かいには「いしかわ百万石物語・江戸本店」や「まるごと高知」が看板を掲げる。歌舞伎座近くの「いわて銀河プラザ」まで歩くと、汗ばむ季節はソフトクリームコーナーに目がくぎ付けになる。

「ここ滋賀」内のレストラン「日本橋 滋乃味」が提供する近江牛定食(東京都中央区)

日本橋のビジネス街も「地方」でにぎわう。「ここ滋賀」2階のレストラン「滋乃味」はビジネスパーソンがランチタイムに列をなす。柔らかくジューシーな「近江牛定食」が人気メニュー。一方、名物のフナずしの発酵成分「飯(いい)」を生地に練り込んだデザート「テ飯ラミス」も提供する。地元の人は首をかしげそうな変化球も人を呼び込む。

「日本橋とやま館」は都内2店目となる富山県のアンテナショップ。県産材をふんだんに使った店舗は、革新的な建築物を対象とした「ウッドシティTOKYOモデル建築賞」でも表彰された。テレビや雑誌など国内外のメディアのロケ地にもなる。

「日本橋ふくしま館MIDETTE」から東京駅八重洲口に近い「おいでませ山口館」「富士の国やまなし館」までゆっくり歩いて20分。途中に点在するショップで涼みながらの散歩にちょうどいい。

羽田空港に設置された「ご当地自販機」

東京の玄関口、羽田空港も穴場だ。県産米「富富富」などを扱う富山を始め、熊本や福島など5県1市の名産品の自動販売機が並ぶ。夏に秋田と石川も加わる。

かつてのアンテナショップは地方出身者の郷愁を満たす側面も強かった。今や大都市から人や金を呼び込む戦略拠点と位置づける自治体は多い。都会的な店構えのスタイリッシュさの裏で、地方は生き残りに向けて奮闘しているようだ。

◇  ◇  ◇

■危機感が「とんがり」生む

アンテナショップが「とんがった」方向に進んでいる。「モノはネットで簡単に手に入る。北海道などブランドが確立した地域に対抗するのも難しい」(地域活性化センターの畠田千鶴広報室長)。ふるさと納税や移住を促さなければという自治体側の危機感も伝わってくる。「新たな試みもいずれ古くなる。常に変わらなければならない」(ここ滋賀の郡司直人総合プロデューサー)。東京五輪・パラリンピックを控え、外国人旅行者も視野に入れる。進化は今後も加速していきそうだ。

(伊藤新時)

[NIKKEIプラス1 2019年7月13日付]

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