疲労回復、集中力UP 有効成分たっぷりハーブティー
香りや味わいが多様なハーブティーは、のどを潤すだけでなく、植物の成分を健康や美容に役立てることもできる。自分に合うお茶が見つかれば、暑苦しい時期を健やかに過ごせそうだ。
「ハーブ」は香草や薬草の総称。傷口に塗り治癒を早めたり、肉の臭み消しにしたりと、古来、生活に根付いていた。今に通じる簡単な使い方としては、葉や花、茎などを乾燥させて、湯で煮出すハーブティーがある。
ハーブティーについて、「立ち上る蒸気には穏やかな香り効果がある。飲むことで、心身を整える作用がある有効成分を体内に取り込める」。植物化学成分の専門知識を持つフィトセラピスト(植物療法士)の池田明子さんは説明する。
長雨で湿度が高くなる時期は、体のだるさを感じやすい。ハーブティーで体調を整えることもある池田さんは、「爽やかな酸味のあるハイビスカスを組み合わせたブレンドをよく飲む。気分がスッキリする」という。
「ハイビスカスは梅干しなどに入っているクエン酸が含まれ、疲労回復が期待できる」と話すのは、ハーブ専門店の「生活の木」(東京・渋谷)のアロマテラピーインストラクター、平川知子さん。初夏に人気なのは、ハイビスカスとローズヒップのブレンドティー。「ローズヒップもビタミンCを含む」
ハーブの有効成分は多様だが、夏は味わいという視点から、後味がさっぱりしたタイプが好まれやすい。例えば、南アフリカ原産のルイボスティー。ミネラルやビタミンを含み、紅茶のような味わいが特徴だ。「現地では健康茶として知られ、近年は抗酸化作用などの働きが注目されている」(平川さん)
香り嗅ぐだけで体感温度下げる
ペパーミントティーは清涼感を出すメントール成分を含み、冷感作用をもつ。平川さんによると、「気分のリフレッシュ、集中力の向上が期待できる。ストレス性のお腹の痛みを和らげる作用もある」。香りを嗅ぐだけでも体感温度を下げるといわれている。
暑さで食欲が低下したときは、ジャーマンカモミールや西洋たんぽぽの葉や根を使った、ダンデライオンがうってつけ。「どちらも腸内環境を整える働きがある。とくにジャーマンカモミールは多くの効能を持ち、その中でも痛みを鎮めたり、胃の調子を整える作用がある」(池田さん)からだ。
飲み方は自由。池田さんは「ハーブティーは味の好みや目的、気分に合わせて気軽に飲むもの」という。ハーブ専門店の生活の木では通常80種類ほどのハーブティーを取り扱っているが、好みのハーブを組み合わせ、ブレンドして飲んでもいいという。相乗効果が高まるほか、味や香りが深まるからだ。甘みを出したいときはコクのあるはちみつや、植物甘味料のアガベシロップを加えると相性がいい。
平川さんは「ブレンドする場合は2、3種類までにすると、味にまとまりが出る。市販のブレンドティーを選ぶのも一案」とアドバイスする。
ティーポットを使って抽出するときは、「熱々の熱湯を注ぎ、3分置く。香りが逃げないように必ずポットのふたをするのがポイント」と池田さん。
冷たいハーブティーを飲みたいときは、2倍のハーブを加えて濃いめに抽出。氷を入れたコップに注ぎ、冷やす。抽出の時間を必要以上に長くすると、雑味が出るので注意したい。
「乾燥」で1年中 寝る前控えめに
ハーブティーは、生のハーブからも抽出できるが、その場合は水分を多く含むため、大量に準備する必要がある。乾燥させたハーブは、時期を問わずに1年中いつでも手に入る手軽さがいい。成分も安定しているという。ティーバッグ入りのタイプであれば、紅茶のように気軽に試せる。
中には強い作用を持つハーブもある。「毎日2~3杯飲むのであれば、薬との副作用や飲み合わせに影響を与えることは少ないだろう」と池田さん。ただし、薬ではないので、「あくまで体質や症状の改善をサポートする作用があると考えて」と添える。
食後やおやつの時間など、休憩時に飲むと習慣化しやすいが、利尿効果があるので、寝る前は控えめにしたい。
お気に入りの味や香りを見つけて、おいしくハーブの力を取り入れたい。
(ライター 児玉 奈保美)
[NIKKEIプラス1 2019年7月13日付]
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