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はやぶさ2導く高専卒 電波が「見える」レベルの技能 高専に任せろ!2019 宇宙に挑む(上)

2019/7/10付

そして今、米倉さんの仕事をサポートするパートナーも豊田高専出身の領木萌子さん(25)だ。2人は9日まで、宇宙開発の中枢、筑波宇宙センター(茨城県つくば市)に詰めていた。はやぶさ2と通信する直径64メートルの巨大パラボラアンテナ(臼田宇宙空間観測所、長野県佐久市)の健全性維持や運用計画の調整を行うためだ。

パラボラの総重量は約2000トン。風や気温などの天候条件で微妙にゆがむ。はやぶさ2は本体がビニールの衣装ケースくらいの大きさで、重量約600キログラム。動いている探査機を追尾してコマンドを送る際、パラボラの微妙なゆがみは、かなたの宇宙ではとてつもない差となる。

設備に異常が発生・予見されても着陸が計画通り行えるように、直前まで高専コンビで準備を進めていた。天気予報では11日の臼田宇宙空間観測所周辺は曇りのち雨だった。パラボラに雨が降っても電波の伝わり方は違ってくる。気の遠くなるような作業だ。

探査機はやぶさ2(模型)

「電波は見えないが、“見える”ようにならないといけない。イメージを浮かべて、それが実際に起こっている状況と合致するところまで技能を磨くことが大切です」(米倉さん)。

■「何かあればすぐ手を動かす」のが高専流

領木さんは電気・電子システム工学科を卒業。もともと巨大な構造物が大好きな理系女子だ。高専時代に臼田の巨大パラボラを間近に見てJAXAで働くことを決意。就職の面接では「日本一大きなアンテナの面倒を見たい」と志望理由を熱っぽく語った。「パラボラを動かすには高専で学んでいる制御の知識が生かせる」と考えたからだ。電波の勉強は独学で行い、5年生の時に陸上無線技術士の資格も取った。

高専時代には「ロボコン」の製作のリーダーも務めた。ロボコンの大会に合わせて数カ月前から手順を考えるマネジメントは「今の仕事にも生かされている」(領木さん)。何か問題があればすぐに手を動かす、高専流の基本動作も健在だ。

(編集委員 田中陽)

[日経産業新聞2019年7月10付]

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