パニック障害もっと知って 患者らが講演や情報共有安心感で発作起きにくく

患者同士が集まり情報交換をすることが不安の緩和につながることもある。近畿地方を中心に活動する「なかまの会」の会員は約120人。年に数回イベントを開き、精神科医を講師に招いて講演を聞いたり、患者同士で悩みを打ち明け合ったりしている。

代表の早野強さん(49)は「周りの人には言い出しづらくても、患者同士なら打ち明けられる悩みがある。会の集まりを通じて少しでも患者の負担が減らせられれば」という。ただ「本当に助けが必要なのは、会合に来られないほど症状が重い人だ」と懸念する。

なかまの会では、会合に来られない人でも情報が得られるようにと、会報を発行したり、会のホームページに病気克服者の体験談を掲載したりしている。早野さんは「医学的な情報も大事だが、治った人の話や体験を聞くことが何よりも参考になる」と話している。

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誰もが患う可能性 専門医に早めの相談を

厚生労働省によると、パニック障害の受診者数は1996年に約3千人だったが、2017年は約8万3千人に増えた。専門の医療機関が増えるなど認知度が上がったことも背景にあるとみられる。大阪府医師会の阪本栄理事(精神科)は「発症のきっかけがないことがこの病気の特徴。誰もがなり得る可能性がある」と指摘する。

効果的な治療法の一つである認知行動療法は、少しずつ成功体験を重ねさせて、不安に対する耐性を高める。例えば急行電車の乗車時に発症した人の場合、最初は発作が起こらない範囲で、無理せず各駅停車で1駅だけ乗車する。克服できたら徐々に乗る区間を伸ばし、「ここまで乗っても大丈夫」という心理状態を積み重ねる。

森田療法は精神科医、森田正馬が1920年(大正9年)ごろに生み出した治療法で、「症状は治さなくていい」としてあるがままを受け入れる心理療法だ。このほか、神経伝達物質の崩れを整えるための薬剤治療も効果があるとされている。

発作を恐れて外出できなくなり、うつ病など他の精神疾患を併発する患者もいる。阪本理事は「パニック障害が疑われる発作が繰り返すなら、専門医に早めに相談してほしい」と話している。

(玉岡宏隆)

[日本経済新聞夕刊2019年7月3日付]

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