あっ、服に日焼け止め 洗剤にエタノールで効果アップ
洗濯家 中村祐一
日差しが強くなり、紫外線が気になる季節になった。毎日の対策として、日焼け止めを塗って出かける人も多いだろう。日焼け止めは紫外線から肌を守ってくれる心強い存在だが、服に付くと厄介なものでもある。
普通に洗濯するだけでは、日焼け止めは衣類に残りがちになる。落とそうとして、とりあえず漂白剤を塗るという人も非常に多いが、あまりおすすめしない。特に、日焼け止めに漂白剤を使うと、日焼け止めが変色してより落ちにくい汚れになることもある。
まずは洗剤を使う。これは日焼け止めに対しては鉄則だ。汚れの部分にピンポイントで洗剤を塗る。その際、以前にこのコラムで紹介した「液体洗剤に消毒用のエタノールを加える」という方法がオススメだ。
エタノールを入れることにより洗剤の溶解力(ものを溶かす力)が増す。日焼け止めのように、油性の成分が多く含まれていたり、皮膜を作るような成分が含まれていたりするものの汚れに対しては特に効果を発揮する。
洗剤2に対して消毒用のエタノールを1程度の割合で混ぜて使う。エタノールなどの溶剤に対応したスプレーボトルに入れて作り置きしておくと、日焼け止め以外の汚れにも使えるので便利だ。衣類に直接洗剤を付けるときは、蛍光剤や漂白剤が入っていない液体洗剤を選ぼう。蛍光剤や漂白剤が含まれていると、色落ちしたり、部分的に白くなりすぎたりするケースがあるためだ。
洗剤を付けたら、よくなじませる。ここでなじませ方が弱いと汚れが残りやすくなる。しっかりとなじませよう。日焼け止めは特に残りやすいので、40度前後のお湯でしっかりすすいで落としてから、洗濯機に入れる。一見手間がかかるようだが、後から洗い直すことを考えると、ひと手間かけたほうが結果的に時短になる。
帽子など洗濯機で洗いにくいアイテムの場合は、エタノールの比率が高い汚れ落とし液を作って拭き取るとよい。エタノール100ミリリットルにおしゃれ着用の中性洗剤を1、2滴入れたものをタオルなどに含ませて、しっかり拭き取る。
エタノールは揮発するので、この方法だと基本的にすすぎは不要だ。ただ、拭き取り後はすぐにしまわずに、しっかり乾かしてほしい。ファンデーションで汚れたものにも同様に使える。
汚れの強い味方になるエタノールだが、注意点がある。エタノールは樹脂を溶かすので、アイテムの色落ちやゴムなどの劣化が起こらないかどうかを、事前にテストしてから使用するとよいだろう。
1984年生まれ。クリーニング会社「芳洗舎」(長野県伊那市)3代目。一般家庭にプロの洗濯ノウハウを伝える「洗濯家」として活動。「洗濯王子」の愛称でメディア出演も。
[日本経済新聞夕刊2019年7月2日付]
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