インスタ映え白いタピオカ 台湾ミルクティー190円
タピオカミルクティーの本場、台湾で「白い」タピオカを使った商品が人気を集めている。健康志向が高まるなか、着色しないタピオカで自然派をアピール。「インスタ映え」の良さも強みだ。価格はミドルサイズで55台湾ドル(約190円)と他社製品並みに抑え、若者の支持を得ている。
白いタピオカミルクティーを手掛けるのは、ドリンクスタンドチェーン「迷客夏」(ミルクショップ)だ。2012年に台南から本格展開を始め、足元では台湾各地で210店強を運営している。
タピオカミルクティーは黒いタピオカが沈んでいるのが定番だが、同社のタピオカは半透明の白色だ。タピオカはデンプンが原料で、本来の色は白だ。甘みを出すカラメルを添加することで黒くなっているが、同社はみつで甘みを加え、違いを打ち出した。
台湾では13年、タピオカなどの原料に工業用原料「無水マレイン酸」が混入する「毒デンプン事件」が発生し、食の安全への意識が急激に高まった。同社は白いタピオカだけでなく、牛乳を自社の契約農場から調達し、自然派を前面に出して台頭した。
野外学習の空き時間、学校近くの台北市内の店舗をこっそり訪れた女子高校生、蒋さん(16)は、同店が打ち出す健康志向には「タピオカはそもそも高カロリーなので……」とピンと来ない様子。ただ同店のタピオカミルクティーは「食感がモチモチしていて、台湾で一番おいしいと思う」と話した。
蒋さんを含め同店を訪れた客からは、「網美」(ワンメイ)という言葉が何度も登場した。台湾の若者の間で流行したスラングで、直訳すると「ネットで美しい」となる。もとはネット上で動画配信する美女を指したが、いまはSNSなどで紹介した際に魅力的に見える「インスタ映え」の良さも示す。
迷客夏は現在、日本進出を検討中だ。同社の広報担当者は「今年秋にも東京に進出し、年間30店舗を出店したい」と意気込む。
(台北=伊原健作)
[日経MJ 2019年7月1日付]
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