雨でぬれた革製品 ハンドクリーム・自然乾燥でケア

NIKKEIプラス1

岡村 享則撮影
岡村 享則撮影

食べこぼしたり、雨でぬれたり。バッグや財布などの革小物はそのまま放置しておくと、シミやカビができて台無しになる恐れがある。家にあるアイテムを使ってできるケアの仕方を紹介しよう。

牛や羊の革などの場合、手入れの仕方はほぼ同じ。専用の道具がいると思いがちだが、「意外と自宅にあるモノで汚れが十分落とせる」と革製品の洗浄・修理店「二子玉川 美靴(びか)工房」の保科美幸さんは説明する。

バッグやキーケースなど、多岐にわたるが、基本は同じ。「汚れを落とす」「保湿する」「乾かす」「仕上げ」の4つのステップだ。順を追って方法を教わった。

ストッキングやコットンも活用

まずは、汚れを落とす。革の小物には手あかやほこりが付着している。台所用中性洗剤と化粧用コットンを使う。バケツ半分の水に中性洗剤を2、3滴入れて泡立ててコットンに染み込ませ、全体をふいていく。「コットンは繊維が細かいので、革製品についた汚れを絡め取ってくれる」と保科さん。代わりに綿棒を使ってもいいという。

次は保湿。乾く前にクリームを塗るのがポイントだ。ぬれた状態だと革の繊維が広がっているため、奥まで浸透しやすい。革製品専用のクリームもあるが、保科さんは「余っているハンドクリームで十分」。冬に使っていた手荒れ予防のクリームのことだ。「人の肌で問題がないのだから、革製品に使っていい」

ただし、革製品に使えるハンドクリームは手に塗り広げたときに、透明になるものに限る。色が残るタイプは革の色を変えてしまう可能性がある。ハンドクリームを塗る際は、いったん製品の端などの目立たない部分で試してからにしよう。

ハンドクリームで、バッグの部分的な色落ちを補正することもできる。保科さんは「退色した部分に塗ると周囲の色となじんでグッと色が落ち着く」という。出かける直前に気づいたときなど、応急処置として有効だ。

クリームを塗り終えたら、乾燥させよう。通気の良い場所に丸1日程度置いて、自然乾燥させる。このとき、特に気をつけたいのが柔らかいバッグ。立てた状態で置くと、自重で潰れて、シワが寄る可能性がある。防ぐために横に寝かせて乾燥させよう。

仕上げはつや出し。活躍するのは、破れて捨てるしかないストッキングだ。保科さんは工房でも使っている。「男性は持っていないだろうが、買ってでも使った方がいい」。丸めた状態で磨くとツヤがよみがえる。

保科さん自身は月1回自分の革製品を手入れしているという。小物だけでなく、靴やベルトなども同じだが、ワニやヘビといったエキゾチックレザーやスエードの素材は扱いが異なるので注意しよう。

本のスタンドに立てたまま保管

革製品は保管の仕方にも気を配りたい。クローゼットの中は湿気がこもりがち。閉めっぱなしにせず、こまめに換気しよう。保科さんは「出かけるときは、すべてのクローゼットを開けていく」。また、「使う前のトイレットペーパーを中に置いておくと、湿気を吸い取ってくれる」という。乾燥剤の代わりだ。

バッグの保管にはブックスタンドが役に立つ。柔らかいバッグを立てたまま保管できるので、形崩れや色移りも防げる。付属の箱や皮袋に入れてしまいがちだが、基本的には外に出して保管しよう。

季節柄、雨にぬれてしまったバッグのケアを知りたい人もいるだろう。「革が水にぬれること自体は問題ないが、しっかり保湿をしたほうがいい」と話すのは革製品を修理する店「レザーリフォーム」(東京都西東京市)の大河原英さん。染み込んだ水が蒸発する際に中の油分も一緒に抜けてしまうため、「ぬれる前より革が硬くなったりヒビ割れたりする心配がある」。

タオルを当てて全体の水分をふき取ったら、クリームを塗って保湿する。次の日も使う場合は急いで乾かしたくなるが、「ドライヤーなどの熱を当てて一気に乾燥させると、革が縮んだりヒビ割れたりしてしまうのでやめておこう」と注意を促す。

通気の良い場所に置いて自然乾燥させるのがベスト。中がぬれている場合は、タオルを入れて、1~2時間おきに交換しよう。新聞紙でもよいが、インクが付かないように気をつけよう。

(ライター 藤原 達矢)

[NIKKEIプラス1 2019年6月29日付]