認知症介護の会話術 「ご飯まだ?」→「今から作る」

2019/6/19付

両親など身近な人が認知症になったとき、戸惑う人は多いだろう。よかれと思いついとってしまう言動が認知症の人を傷つけ、症状を悪化させてしまうことがある。認知症の進行を抑えるには、周囲が正しい接し方をすることが欠かせない。どこに気をつければいいのか。

「郵便局で年金を下ろさなきゃ」。東京都内に住む認知症の80代の女性はほぼ毎日、通帳を持って家の中をうろつく。平日でも娘が「今日は日曜日だから下ろせないわよ」と言うと、「あら、そう」と郵便局に行こうとするのをやめる。

娘は母親にウソをついたことになるが「それで構わない」と東京都中野区地域連携型認知症疾患医療センターの専門相談員、右馬埜節子さんは話す。「昨日も同じこと言ってたよね」などと返すと、認知症の人は自らを否定されたと思い不安が募る。

認知症は病状が進むとコミュニケーションが取りにくくなる。介護する側が知っておきたいのは「記憶力が低下している認知症の人は現実とは違う世界に生きている」(認知症など介護問題に詳しいケアタウン総合研究所の高室成幸代表)ことだ。

よくあるのは食事したのを忘れ催促する例だ。食べた記憶が失われ脳は食べていないと判断する。こうした場合、介護する人は否定したり間違いを正したりしないことが重要だ。