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プラスアルファの接客で店のファンを増やす

コーセーの高級化粧品ブランド「コスメデコルテ」は「GINZASIX」(東京・中央)内に旗艦店「メゾンデコルテ」を構える。訪日外国人のみならず、同ブランドの長年のファン、銀座で働く女性など、多様な客層が店舗を訪れる。店を支える重責を担うのは、サブチーフの根ヶ山由紀さんだ。顧客ごとのニーズに合わせるとともに店舗のファンになってもらえるよう、顧客の期待より一段上の接客を目指す。

「メゾンデコルテ」は、コスメデコルテ初の旗艦店で、2017年4月に開店した。ブランド価値を発信する拠点として、店舗のデザインは同ブランドの容器デザインを手掛けるマルセル・ワンダース氏が全て担った。旗艦店としてブランド初のエステ設備も併設、希望する顧客には時間をかけた接客ができる。

根ヶ山さんが接客で心がけるのは「顧客に何かプラスアルファで持ち帰ってもらう」ことだ。店舗にはお土産用に商品を購入する訪日客のほか、仕事帰りの女性、地方から来た古くからのブランドのファンなど、多様な客層が集まる。顧客が多いと、できるだけ多くの顧客に対応するために接客の時間が短くなってしまいがちだ。

ただ、根ヶ山さんは「お客様に少し待ってもらってでも、質の良い接客を受けたいと思ってもらえるのが理想」と話す。「どんなお客様も、要望や買いたかった商品を紹介するだけではもったいない」といい、例えば訪日客なら、目当ての商品とは別でも顧客に合った商品を紹介し、商品サンプルを持ち帰ってもらうという。顧客の悩みなどを丁寧に聞き、根ヶ山さんのおすすめの商品サンプルを渡しているという。

コーセーがコスメデコルテで重視している指標の一つは顧客のリピート率だ。コスメデコルテは中国人消費者からも人気があり、インバウンド需要が高いブランドだ。ただ中国政府が1月から電子商取引法(EC法)で転売業者への規制を強化。ブランドとして成長を続けるには、お土産や転売のためではなく、来店した本人に「もう一度店舗を訪れたい」と思ってもらえるかがカギだという。

リピート率を上げるため、コスメデコルテは初めて店舗に来た顧客に「リピートカード」を配布している。初回の来店から1年以内に店舗で買い物をすると、商品サンプルがもらえる。メゾンデコルテでは、店舗限定商品のサンプルがもらえる特典がある。メゾンデコルテの顧客リピート率は現在25%程度。訪日客が多く、やや低めだが30%まで引き上げたい考えだ。

根ヶ山さんは02年からコーセーに美容部員として入社。ドラッグストアで中価格帯商品の販売のキャリアが長いという。17年のメゾンデコルテの開店と同時に配属になった。根ヶ山さんは「ドラッグストアでも高級店でも顧客と向き合うのに変わりはない。私の接客を受けたいと思ってもらえるよう、自分だけの顧客を増やしたい」と話す。

(矢崎日子)

[日経MJ2019年6月17日付]

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