米IPOで注目 植物由来の人工肉バーガー1500円
今年最も熱い新規株式公開(IPO)――。ウーバー・テクノロジーズやリフトなどIPOラッシュが続く2019年の米株式市場で、こう評される企業がある。エンドウ豆など植物由来の食材で模倣肉を作る「ビヨンド・ミート」だ。6月7日に開いた初の決算会見で19年12月期の売上高が前年比2.4倍の2億1000万ドル(約227億円)に達しそうだと公表すると、翌日の株価は4割近く上昇した。
精進料理や豆腐ハンバーグを長らく食べてきた日本では、植物由来の模倣肉を「昔からある類いの食べ物だろう」と考える人が多いかもしれない。大きな違いは、分子レベルの研究によって、味や食感、見た目を限りなく本物の肉に近づけていることだ。ビヨンドの製品は高級スーパー「ホールフーズ・マーケット」で買えるほか、ハンバーガーチェーンの「カールスジュニア」も一部の店舗で同社の植物肉パティを使ったバーガーを販売している。
記者の自宅に近いカールスジュニアは残念ながら取扱店ではないため、ビヨンドと並んで「植物肉のツートップ」と呼ばれるインポッシブル・フーズ(カリフォルニア州)がパティを供給する「Umamiバーガー」を訪ねた。店員が「お薦め」という植物肉バーガーの「インポッシブルトリュフメーカー」は税抜きで14ドル(約1500円)だ。
パティ以外の具材も微妙に違うので単純比較はできないが、通常の肉を使った「トリュフバーガー」も14ドル。植物肉バーガーがとりわけ高いわけではない。見た目は普通のハンバーガーと変わらず、味わいも「本物の肉よりもやや豆っぽいかな」という程度。これがビーガン(完全菜食主義者)向けにとどまらず、環境意識の高い層や、コレステロールの摂取量を気にする肉好きなどにも人気が広がっている理由だ。
ただ、植物肉バーガーにもソースやマヨネーズはたっぷりかかっている。決してカロリーが低いわけではないのでご注意を。
(シリコンバレー=佐藤浩実)
[日経MJ 2019年6月17日付]
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