梅雨の玄関快適術 靴は乾燥、靴箱は換気が鉄則
雨にぬれた靴や傘などをつい置きっ放しにしがちな玄関は、湿気や汚れをためこみやすい場所だ。梅雨どきに玄関回りを快適に保つ方法を専門家に聞いた。
「玄関は空気が出入りする場所。ここをきれいにしていると家の中は汚れにくい」。「おそうじ本舗」を手掛けるHITOWAライフパートナー(東京・港)のHITOWAくらしスタイル研究所、尾崎真所長は指摘する。「玄関には家の外の砂や湿気を持ち込みやすい。ここで食い止めることが、家の中を汚さないことにつながる」という。
靴についた土砂 掃除機が効果的
玄関で大きなスペースを占める靴箱は湿気や汚れがたまりやすく、臭いのもとやカビの温床になりやすい。
掃除するときは、いったん靴を全部外に出す。尾崎さんは「靴に付着した土砂などが、コーナー部分にたまっている場合は歯ブラシなどで上から垂直にたたくと、固まりが壊れて掃除しやすくなる」とアドバイスする。土は水にぬれると掃除しにくくなるので、ふき取るのではなく、掃除機で吸い取る方が効果的だ。
掃除機に土が付くのを避ける工夫を尾崎さんに教わった。即席ノズルだ。空のペットボトルを3分の1くらいで斜めにカットし、テープで掃除機につなぐ。狭い靴箱の奥まで届き、平たんな場所のゴミも吸い取れる。使い捨てなので衛生面も安心だ。
尾崎さんは「湿気は靴箱だけでなく、靴本体のカビの原因にもなる。風通しを良くすることが何より大事」と強調する。
靴箱の扉は閉めっ放しにせず、定期的に風を通す。尾崎さんは「出かける前に扉を開けておくだけでも違う」と話す。掃除のついでにサーキュレーターや扇風機で靴箱全体に風を送るのもいい。
使い終わったジャムの瓶などに重曹を入れて、キッチンペーパーでフタをしたものを靴箱に入れておくと、乾燥剤の役目を果たす。
また、靴箱に突っ張り棒を渡し、一晩乾かした靴のかかとを載せて靴底を浮かせるように置くと湿気が逃がせる。
ぬれた靴のケアは重要だ。「靴下は毎日取り替えるのに、靴の中には無頓着な人が多い」と話すのは、靴ケア用品を製造・販売する「ジュエル」(東京・豊島)営業部の会田匡範さん。「梅雨の時期は雨や汗で靴が常に湿った状態になり、細菌も繁殖しやすい。それが、靴の臭いや傷みの原因になる」と指摘する。
会田さんによると、雨や汗がしみこんだ靴は、表面が乾いていても、内部や底部には水分をためこんでいる場合が多いという。靴を新聞紙やタオルなどに載せて水分を吸わせる。靴の中にシリカゲルの乾燥剤を入れるのも有効だ。
足の臭いのもと 48時間休ませる
ある程度乾いたら、風通しの良い場所でさらに乾燥させる。靴底やつま先部分は特に乾きにくいので空き缶などに載せ、靴底を浮かせると乾きやすくなるという。
「足の臭いに悩んでいる人の多くが、毎日同じ靴を履いている」と会田さん。「靴をしっかり乾燥させるには少なくとも48時間は必要。1日履いた靴は2日休ませる。これだけでも臭いの問題は随分改善する」と話す。
スニーカーやウオーキングシューズのインソールは取り外せるものも多い。脱いだらインソールを出し、靴の中に立てかけておくだけでも乾きやすくなる。
靴をぬらさない工夫も大事。「防水スプレーは水をはじくだけでなく、汚れが革や繊維に入り込むのを防ぐ効果がある」(会田さん)。また、除菌・消臭スプレーは帰宅時、靴を脱いだらすぐに使うとよいという。
梅雨どき特に気をつけたいのが、傘についた水滴だ。ぬれた傘をそのまま持ち込むと、タタキに水がたまり、湿気へとつながる。玄関の外に傘を置くスペースがあれば傘は中まで持ち込まないほうがよい。マンション住まいなどで持ち込まざるをえない場合はタオルで拭くなど、なるべく水滴を落とす工夫をしたい。
尾崎さんが薦めるのは珪藻土(けいそうど)でできた三角形の傘立て。傘の先から落ちる水滴を吸い取るうえ、コーナーにすっぽり収まり、場所も取らない。
濡れたら放置せず、ひと手間かけるとカビや湿気、臭い防止が期待できる。「家の顔」玄関を清潔にすると生活空間全体が快適に保てそうだ。
(ライター 李 香)
[NIKKEIプラス1 2019年6月15日付]
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