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UPDATE 知の現場

生物科学のゼネラリスト育成 答えのない問いを考察 日本大学くらしの生物学科

2019/6/12付 日本経済新聞 朝刊

少人数で生物を巡る課題を従来の枠にとらわれず議論する
連載「UPDATE 知の現場」は、変革が進む大学の人材育成や研究開発の現場を紹介していきます。

遺伝子を組み換えるゲノム編集技術など、生物科学を巡る領域が広がり、新たな課題が増えている。2015年4月に開設した日本大学生物資源科学部の「くらしの生物学科」は、生物科学について従来の枠組みにとらわれない視点で問題を考察できる人材の育成を目指す。ボランティアや実習など現場の実践活動も重視し、幅広い視野と判断力を培う。

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神奈川県藤沢市にキャンパスを構えるこの学科は、生物資源科学部で12番目に設置された最新学科だ。「生産・利用」「生命科学」「環境科学」の3つの分野を1~3年生の間で全員が学ぶ。専門分野の研究室に入るのは4年生からだ。学科主任の光沢浩教授は「幅広い知識と判断力をもったゼネラリストの養成を専門に掲げた学科だ」と強調する。

これまで食料生産について学ぶ「生命農学科」など特定分野に特化した学科が多かった同学部の中では異色の学科。1学年に約80人が在籍する。

同学科でとりわけ重視するのが、複数の分野の切り口からの考察だ。例えば、必修の「生き物倫理」では、ペットとヒトとの関わりについて議論する。高齢の飼い主が亡くなりペットの飼い主がいなくなる問題や動物実験の是非など、身近な問題を取り上げて考えさせる。

「高齢者のペット飼育には制限を設けるべきか」

「カエルばかり実験に使うのはどうして。哺乳類と命の重さが違うのか」

あえて答えは示さず、少人数のグループワークを中心に学生に考えさせる。生物科学が向き合っている答えのない問いに対し、判断力を培うのが狙いだ。

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現場実習にも力を入れる。地元の観光地である江の島の生物資源を調査したり、学内の農場で野菜を学生が植え付けから収穫まで行ったりする。

ボランティア活動も必修科目だ。神奈川県内の動物園や農業法人のほか沖縄県の海ブドウ生産法人など、全国約10カ所から学生が活動先を選ぶ。現場でのコミュニケーションやマネジメント能力を高め、社会で活躍できる人材に育てる。

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