即席麺より早い、焼き上げ2分 六本木でカスタムピザ
飲食店経営のクリスプ(東京・港)は今春、六本木ヒルズ(同)内にソースやトッピングを自由に選べるカスタムピザ専門店「R PIZZA(アール・ピザ)」を開いた。オーダーしてから目の前で生地を伸ばし、焼き上げるまでの時間は約2分。手ごろな価格でピザを提供することで、オフィス街のランチや持ち帰り需要を取り込む狙いだ。
アール・ピザ1号店は六本木ヒルズ ヒルサイドの地下2階にオープンした。カウンター越しに生地を伸ばしたり、ピザを焼いたりする様子が見られるようになっており、顧客は自分が注文したピザができあがる工程を見て楽しむことができる。
カスタムできるピザのソースは4種類。ベースがトマトソースの「クラシックトマト」や「スパイシートマト」のほか、バジルを使った「バジルペスト」や「ホワイトクリーム」が選べる。トッピングはチーズや野菜、肉類など約30種類。一からカスタムして注文しなくても済むように、トマトソースにバジルなどをトッピングした「THE CLASSIC」(920円)など8種類の基本メニューも用意する。想定客単価は1300円。
店内には10席を用意した。ビールなどのアルコールも用意し、仕事帰りの「チョイ飲み」需要にも対応する。六本木ヒルズで働くビジネスパーソンの利用が多く、約2分で焼き上がる手軽さから、ランチタイムは6割が持ち帰りだという。クリスプの宮野浩史社長は「米国のようにオフィスでランチにピザを食べる食習慣が広まってほしい」と話す。2020年までに都心のオフィス街を中心に4店舗の出店をめざす。
一見すると注文のバリエーションが多いカスタムピザは店舗のオペレーションが煩雑に見える。一方で、季節ごとのメニュー改変が発生しない分、表示の刷新やスタッフ教育の手間が省けるメリットもあるという。生地を注文を受けてから伸ばすほか、自家製のベーコンは、実際に店内でいぶすなど本格的な調理方法にこだわるが、どちらも専用の機械を使用。生地も薄く伸ばして短時間で焼けるように工夫し、省人化と質の両立を図った。
近年、「中食」市場が広がっている。日本惣菜協会(東京・千代田)によると、2018年の総菜市場規模は10兆2518億円で、中食市場は9年連続で拡大している。
持ち帰りすしやハンバーガーなどはチェーンが多い中、「ファストフードのような気軽さで、カスタムピザを利用してほしい」(宮野社長)と、テークアウト需要に期待をかける。
1号店の出店場所である六本木周辺は外資系企業が集積する。外国人の利用も多く、ピザ店との親和性は高いとみる。牛丼などに続くビジネスパーソンの昼の選択肢になれるのか。カスタムピザの普及を六本木から目指す。
(友部温)
[日経MJ 2019年6月12日付]
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