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豪州、選挙で大人気 「民主主義ソーセージ」370円

日経MJ

5月18日に投開票されたオーストラリア総選挙。投票所となった小学校を訪れると「民主主義のソーセージ(Democracy Sausage)」が大人気となっていた。調理・販売するのは、小学校に通う児童の保護者らだ。ボランティアの男性が中心となってバーベキューグリルでソーセージを焼き、パンに挟んで次々と提供する。

大仰な名前だが、もともとは「ソーセージ・シズル」として豪州で親しまれてきた食べ物だ。価格は5豪ドル(約370円)。学校や教会のイベントで資金集めのために販売される。

「民主主義のソーセージ」なる名前が定着したのは、前回総選挙があった2016年からだ。投票所を訪れた当時のターンブル首相が「豪州の民主主義は、ソーセージ・シズルの香りなしでは成り立たない」と発言して話題に火が付き、同年の「今年の言葉」にも選ばれた。

豪州の選挙は義務投票制だ。18歳以上の有権者は正当な理由なく投票を怠ると、罰金20豪ドルが科せられる。9割を超える有権者が投票に赴くが、なるべく有権者が楽しめるように多くの投票所が趣向を凝らす。

ターンブル氏はすでに政界を引退したが、同氏の地盤だったシドニー東部の投票所には「民主主義のソーセージ」のほか、雑貨や子ども向けのバルーンアート、コーヒーやカップケーキの臨時店舗が出店し、さながら縁日の様相をみせていた。スーパーや飲食店はチェーン店ならどこもクレジットカードやデビットカードが使える豪州だが、出店はほとんどが現金払い。お金の使いすぎに対応してか、移動式のATMまで設置されていた。

総選挙では事前予想を覆し、与党・保守連合が政権維持を決めた。与党を率いたモリソン首相は無類のバーベキュー好きで知られ、自ら腕を振るい、各国首脳をもてなしたこともある。民主主義のソーセージのレシピがあるようだが「誰にも秘密」という。

(シドニー=松本史)

[日経MJ 2019年6月9日付]

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