繁華街のネオンサイン消える? LED台頭で主役交代

NIKKEIプラス1

いずれも高度経済成長期の意気軒高ぶりの象徴。1972年の銀座の夜景写真には家電や食品、レコードなど大手企業のネオンが存在感を競う。明るい夜空に星が消え、極彩色が景観を悪化させるという“光害”批判も始まった。

ネオンは70年代の2回のオイルショックで、不要不急の電力消費としてやり玉に上がる。通産省(当時)の指導で点灯時間が短縮され、一時は点灯不能になった。ネオンの電力消費量は73年でも国全体の0.07%にすぎなかったが、社会の「明るさ」の象徴だったからだろう。ホテルニューグランド施設部の佐藤正夫さんは「73年12月に点灯時間を短縮し、75年7月に配電盤を撤去した」と振り返る。

80年代から90年代にかけても繁華街の主役であり続けたネオンも、21世紀に入ると一気に下火となる。置き換わったのはLEDサインだ。1つの管で1色しか出せないネオンに比べ、LEDは3原色の組み合わせで多色表示が可能。消費電力は4分の1、動画も再生できる。

それでも「ネオンの温かみのある光はブティックのシンボルなどで需要が根強い」(小野さん)。最近はインスタグラムにネオンの写真をアップする若者も目立つ。繁華街の主役から静かに退いたネオンは、レトロ趣味の世界に居場所を見付けたのだろうか。

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小ぶりなネオンシンボルが若者に人気(横浜市のホテルニューグランド)

温かい光「インスタ映え」

ネオン製作は完全な手作業だ。直径1センチほどのネオン管をバーナーで曲げ、ガスを充填する。管を思うように曲げられるようになるまでに10年はかかるという。取り付けには特種電気工事資格者という国家資格が必要だ。

コーワネオン(埼玉県朝霞市)の佐々木康則工場長(48)は今は数少ないネオンシンボルの専門家で企画デザインから設置工事まで請け負う。幅2メートル、高さ1メートルのロゴ1つで受注価格は10万~30万円。「アパレル系の店舗からインターネット経由の注文もある。観覧車などの大型案件より採算はよい」という。

佐々木さんが意識するのは若者の動向。「原宿の竹下通りなどで、インスタ映えするデザインのネオンを設置していかなければ」と今後を見据えている。

(礒哲司)

[NIKKEIプラス1 2019年6月8日付]

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