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自宅で穏やかな最期を みとりの人材育成へ各地で講座

2019/6/3付 日本経済新聞 朝刊

慣れ親しんだ場所で穏やかに人生の最期を迎える――。多くの人が望む形の終末期を実現させるため、みとりの場で患者のケアを担う医師や介護スタッフ、ヘルパーなどを育てる動きが広がっている。自宅でのみとりを望む人は多い一方で、在宅医の不足などでその受け皿の整備は遅れており、患者の苦しみを理解し、寄り添う人材の育成は急務だ。

2018年12月、一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会(東京・港)が横浜市内でみとりの援助者を養成するための「援助者養成基礎講座」を開いた。「解決が困難な苦しみを抱えた人がいても、穏やかな最期を実現できる」。同協会の代表理事、小沢竹俊医師は身ぶり手ぶりで参加者に訴えかけた。

講座には全国から51人が出席。参加者は看護師が約半数と最も多く、そのほか医師や介護職、ソーシャルワーカーなど多岐にわたった。

同協会は15年春、在宅の緩和ケアに長年従事し、クリニック院長も務める小沢医師を中心に設立。終末期患者や家族を支援し、みとりができる人材の育成が目的だ。同年7月に講座を開始し、月2、3回程度、東京や大阪、名古屋などで定期的に開催する。

各回には在宅だけでなく病棟などで勤務する医療者を含めて数十人が参加。座学やグループワーク、具体的な事例を想定したロールプレーを通じて「苦しみを抱える患者にどのように接し、支えるか」を学ぶ。

コツの一つが相手の言った言葉に「気持ちは分かる」などと理解したつもりになるのではなく、そのまま反復することだ。相手の言いたいことをしっかり聞く意思を示し、その人の苦しみと支え方を知る一歩になる。

これまでに約4500人が受講。受講1年以内に経験した事例をリポートで提出し、協会認定の「エンドオブライフ・ケア援助士」を取得できる。19年4月末までに約730人が認定された。

同協会では、5人に1人が75歳以上となる25年までに認定者を5千人程度に増やすのが目標。小沢医師は「みとりなど解決ができない苦しみを抱える人と関わることが苦手な医療者は多い。対応できる人材の質を高め、同時に量も増やしていく必要がある」と強調する。

実際に受講者の多くが培ったスキルを生かしている。

「当たり前だと思っていた考えががらっと変わった」。訪問介護事業所に勤める介護福祉士の津野采子さん(47)は16年、大阪市で開催された講座に参加した。

津野さんには苦い経験があった。受講数年前、同世代の末期がんの女性を担当。持ち前の明るさでどんな患者とも接することができると思っていたが、その女性にある日、「あなたはいいよね」と言われてしまい、返答に窮した。

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