夏休み前に骨盤ほぐし体操 腰にキレ、動きやすい体に
痛みや倦怠感・冷え性防ぐ
夏の行楽を控え、キレのある動きやすい体にしておきたいところ。ポイントは身体の要である腰まわり。ここが不調になると、腰痛や倦怠感(けんたいかん)、冷え性の要因になりかねない。骨盤をほぐす体操で腰まわりを整えよう。
「腰」は月に要と書き、身体の要であり日常生活においても重要な役割を果たしている。腰まわりに大きな影響を与えるのが骨盤内のずれだ。
骨盤は、脊椎の根元にある仙骨と、その周辺に広がる腸骨などで構成される(イラスト参照)。この仙骨と腸骨をつなぐのが仙腸関節だ。
この関節は偏った動作を繰り返すとずれやねじれが生じる。上半身と下半身をつなぐ場所だけに、ずれが生じると全身に負担を与え、日常のさまざまな動作をするたびに肩こりや関節痛、全身の疲労につながる。血行が悪くなり冷え性の原因にもなっている。ぎっくり腰のような急性腰痛の一部は、仙腸関節のねじれで発生することも多い。
活動的な体づくりには、骨盤の仙腸関節を日ごろから入念にメンテナンスすることが効果的だ。
まずは、骨盤・仙腸関節が全身と連動していることを確認しよう。直立し両腕の力を抜く。意識的に左右の腰をゆっくり交互に前に動かすと自然と腕がついてくる。骨盤・仙腸関節が全身の骨格と連動しているためだ。逆に体を様々に動かすことで、仙腸関節を整えることができる。
最初に、仕事の合間に立ちながら手軽にできる仙腸関節ほぐしを紹介する。椅子の背もたれに手を添えて、両足は肩幅程度に開いて腰を落とす。その後、片側の膝を曲げた状態で横に広げる。これを、ゆっくり交互に繰り返す(10~20回程度)。
自宅なら寝転んで行うストレッチに挑戦してみよう。あおむけになって脚を伸ばし、片脚を曲げて横に開きつつ、もう一方の脚をかかとから押し出す(5秒×2~3回)。
続いて、両膝を立て、片膝を内側に入れ込むようにする(15秒×2回程度)。これを左右それぞれ行う。ストレッチの際に左右で動きに差がある人は、仙腸関節の異常が考えられるので注意が必要だ。
さらに、時間に余裕があれば「骨盤ひねり運動」をお勧めする。椅子の座面など安定した物に手を添えて、大きく膝を開いて腰を落としながら、片膝ずつ身体の下に入れ込んで戻す。左右交互に10回程度を目安にする。
膝開き運動も試したい。椅子の背もたれに手を添えて、膝をやや直角にしつつ持ち上げ膝を横に開く(左右交互に10回程度)。いずれの運動も、骨盤・仙腸関節に意識を持ちながら行うのがポイントだ。
普段の生活でも、骨盤・仙腸関節のケアには、姿勢が大きく影響する。立った状態で足先から頭にかけ芯が通るようにしたい。まずは、直立に立ち、「がくっ」と膝をゆるめたのち、かかとから頭部にかけて芯を通していくようなイメージで姿勢を整えよう。
日常生活で思い通りの動作ができていると思っていても、無意識に骨盤に負担をかけているかもしれない。ちょっとした運動で動きやすい身体を維持していきたい。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)
[NIKKEIプラス1 2019年6月1日付]
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