Hot Zone

ゴールドウイン丸の内 街着とスポーツウエアを融合

日経MJ

2019/5/29付

高い天井やガラス張りの入り口で狭さを感じさせない(東京都千代田区)

ゴールドウインは2018年11月、初の直営旗艦店「ゴールドウイン丸の内」(東京・千代田)を開いた。スキーブランドとして成長したが、近年は間口を広げる戦略に転換。高機能ウエアなどをそろえ、従来のスキーファンに加え、アウトドアが好きな層も取り込むことに注力している。




「人や街並み、環境に即した店を作りたかった」。同社の新井元・事業部長は昨年開業した大型複合施設「二重橋スクエア」の1階に開いた路面店の狙いを話す。店は全面ガラス張りで、店内の床には軒先の通路と同じような石畳をあしらった。壁や棚はモノトーンで統一。街路樹と同じ高さとなる棚の最上部には、自然を表現するように観葉植物を並べる。

■12万円の高性能防水コートが売れ筋

約56平方メートルの売り場には、スキーウエアから派生したはっ水性の高いダウンコートなどを用意。黒や茶色など落ち着いた色の商品を中心にそろえた。月1~2回通うという男性会社員(48)は「スキーウエアのイメージが強かったが、ロゴも以前と変わった」と話す。

同店の売れ筋アイテムの一つが、防水機能を持たせた「バルカラーコート」だ。価格は12万円程度と一般的な防水コートと比べると高額に映る。それでも「機能とデザイン性の高さの両方にこだわっており、お客さんには長く使えるからと手にとってもらえる」(新井氏)という。

「ゴールドウイン」ブランドは約50年にわたり、スキーウエアを中心に事業を展開してきた。バブル期に起きたスキーブームもあり、中高年層には今なお、このイメージが強い。

■「冬」「スキー」のイメージを払拭

ただ、ブームが去り、少子高齢化も重なって国内スキー・スノーボード人口がピーク時に比べて3割程度に落ち込んだ。そこで、近年はブランド改革に着手し、16年にはカジュアル衣料の取り扱いを始めた。

カジュアル衣料は当初の7品目からシーズン平均で約60品目に増えた。19年春夏モデルからはアスレチック(競技)とレジャー(余暇)を組み合わせた「アスレジャー」の衣料を投入。秋冬にはアウトドア製品も充実させる予定で、新井氏は「ブランドの総合化を目指す」としている。

直営店の開店から約半年がたったが、ブランドの認知度は着実に高まる。4月の同ブランド売上高は前年比で倍になった。直営店でブランドを知った小売業者も多く、商品について問い合わせも増えたという。

東京・丸の内という通勤客が多い立地だけに、毎日、通勤の合間などに店の前を通り過ぎる人も多い。このため平日に店頭で商品を見たうえで、週末などに改めて来店して購入するケースも多いという。

それだけに「どのように好奇心を持ってもらうか、商品を変えて鮮度を保つか」(新井氏)に細心の注意を払う。開店後、初の夏をまもなく迎える同店。「冬」「スキー」というイメージを払拭した品ぞろえができるかどうかが、最初の試金石となりそうだ。

(佐伯太朗)

[日経MJ 2019年5月29日付]

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