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小説モチーフに油彩画描く 現代美術家・束芋の新境地

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NIKKEI STYLE

アニメーションを駆使した映像作品で知られる束芋(たばいも)が、初めて油彩画に挑戦し、新たな映像作品とともに個展で発表している。多彩な表現を試みる現代美術家に狙いを聞いた。

束芋はこの20年、現代美術の先頭を走ってきた。1999年、京都造形芸術大学の卒業制作「にっぽんの台所」で注目を浴び、2000年代初めまで「にっぽんの横断歩道」「にっぽんの湯屋(男湯)」などを立て続けに発表。身近な現実を見つめ、シュールに表現したアニメーションは美術界に新風を吹き込んだ。

09~10年、団塊ジュニアである自身の世代を主題にした個展「束芋 断面の世代」(横浜美術館、国立国際美術館)も大きな関心を呼ぶ。団地のような集合住宅の各部屋で展開するそれぞれの日常を、のぞき込むような視点で映像化した「団断」「団地層」といったアニメーションは、間近に住む人間同士が互いに無関心で通す現代への鋭利な自己観察となった。

家具組み合わせる

東京・銀座のポーラミュージアムアネックスで開催中の「束芋 透明な歪(ゆが)み」(6月2日まで)は、国内では9年ぶりとなる本格的個展だ。米国で3年前に発表した映像インスタレーションと、新作の映像作品、それに初めての油彩画で構成する。自宅から持ち込んだ家具を会場に配置し、それと組み合わせる形で油彩画を制作した。

「油絵は学生の時も描いたことはありませんでした。やってみてとても面白かった」という。「アニメーションを制作している期間は、ほとんど苦しいことばかりなんです」。頭の中で図面を引き、それを何百枚もの紙に描いて映像化する。緻密に計算し、一回一回確認しながら作業を進めなければならない。「油絵は目の前でどんどん変化していき、自分の手で作っている感触がある。油絵を描いてきた方は、こんな楽しいことをしていたんだ、と思いました」

小説の不穏さ浸入

出品作11点は、小説などの原作を基に制作し、それを独自に飛躍させた。原作名をあえて伏したのは、それに縛られずに作品に接してほしいから。油絵には、2つの足と片方の手だけが見える椅子や、3人の足裏がのぞく下半身、歪められた少年少女の顔などが描かれ、不穏な雰囲気がある。椅子や棚、物入れなどに囲まれた空間に、ただならぬ気配が浸入する。

新作の映像インスタレーション「ループドロップ」もまた、ある作家の殺人事件を描いた小説に触発された。奥行きのある回廊のような空間では、窓や洗面台が現れては消え、裸の女性が倒れ込んできたりする。

「13年前、吉田修一さんの『悪人』の新聞挿絵を担当するまで小説はほとんど読んでいなかった。世の中にこんな面白い世界があるんだ、と思った」と打ち明ける。「小説を読むと、作品のイメージが日常生活の中に突然入ってくる瞬間がある。その感じを表現したかった」。言葉の世界からの刺激を受けとめる感性は今も、みずみずしい。

横浜美術館の開館30周年を記念する「Meet the Collection」展(6月23日まで)では、4年前に発表した映像作品「あいたいせいじょせい」が異彩を放つ。人形浄瑠璃「曽根崎心中」のお初と、小説「悪人」の登場人物、金子美保をモチーフに、女の情念を水のイメージを交えて表現する。おどろおどろしくも幻想的な映像だ。「女性の情念、どろっとした感じは好きなんです」と、笑いながら語る。

6年前、美術家の杉本博司氏による文楽公演「曽根崎心中」に映像で参加した。ダンスと映像を組み合わせた映像芝居など、今は他ジャンルとのコラボレーションが多い。「最初のころは、社会を日常目線で見つめた作品をつくっていましたが、今は外のジャンルからの影響で、かえって自分の個が表れてきた」という。美術の枠にとどまらず、外からの刺激に反応して、今も変貌を続けている。

(編集委員 宮川匡司)

[日本経済新聞夕刊2019年5月27日付]

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