水虫を正確に診断するには、顕微鏡を使って白癬菌の存在を確認する必要がある。上出院長は「薬指と小指の間に症状が出ている場合は、水虫の可能性がかなり高い」という。判断がつかない場合は医療機関にかかる方がいい。
市販薬を使う際は注意が必要だ。かゆみ止めなど様々な成分が含まれており、かぶれを起こすこともある。薬剤師と相談するのが理想だ。
市販薬のなかではクリームか軟こうが無難だ。「液体やスプレーは刺激により皮膚炎を起こすことがあるので、皮がむけてジュクジュクしている所に使ってはいけない」(北見准教授)。クリームや軟こうであっても薬が合わないこともあるので、「3日間使ってみて効果が感じられなければ皮膚科を受診して」と上出院長は話す。
薬はひんぱんに塗るほど効くわけではない。医師が処方した薬はほとんど1日1回でよい。用法・用量をしっかり守ろう。また、白癬菌を根絶するには、症状がある部分だけでなく指の間から足の裏全体に薄く塗ることが大切だ。夜の入浴後に使いがちだが、「白癬菌は靴を履いている昼間に増殖するので、朝、靴下をはく前に塗るのが合理的」と上出院長は助言する。
梅雨になると毎年水虫になる人は、治りきらないうちに治療をやめて白癬菌が生き残っている可能性が高い。症状がおさまっても薬は2カ月ほど塗り続けてほしい。
スポーツクラブやゴルフ場、温泉など、不特定多数の人が素足で歩く場所に行くと水虫をうつされるリスクが高くなる。足に白癬菌がついても感染するまでに12時間以上かかるので慌てる必要はないが、家に帰ったら必ず足を洗おう。北見准教授によると「乾いたタオルで足の裏を拭くだけでも効果がある」という。
家族に水虫の人がいればバスマットの洗濯や床掃除をまめに行うこと。スリッパも共用しない。除菌しようと軽石でゴシゴシこするのは逆効果。角質に傷がつくことで白癬菌が繁殖しやすくなる。
湿気があると白癬菌は増殖しやすい。入浴後すぐに靴下をはいたり、同じ靴を毎日履き続けたりするのはよくない。サイズがきつく指が圧迫される靴も湿気やすく水虫になりやすいので注意しよう。
(ライター 伊藤和弘)
[NIKKEIプラス1 2019年5月25日付]