英国のジャーナリスト、サイモン・シン著『フェルマーの最終定理』『暗号解読』『宇宙創成』は、この3部作で科学の全体像が分かるといっても過言ではありません。ストーリーや構成が素晴らしく、どんどんひきつけられます。数学の難題だったフェルマーの最終定理の証明に日本人の業績が貢献したことも分かり、感激しました。

漫画好きで、就寝前に2~3時間読みふけるときもある。

きっかけは東大海洋研究所(現大気海洋研究所)に居て船で調査に出かけたことです。データを数時間おきに集めなければならず、待ち時間に漫画がうってつけなのです。若い研究者が何巻も持ち込んだ美内すずえ『ガラスの仮面』を皆で回し読みしました。

なかなか眠れない体質で、寝床でよく本を開きます。その7割が漫画です。繰り返し読んでいるのが横山光輝の歴史漫画。山岡荘八の原作を踏まえた『徳川家康』『伊達政宗』、『項羽と劉邦』などは面白く、事典のように読めます。歴史は漫画で学べ、といっていいくらいです。

荒木飛呂彦の『ジョジョの奇妙な冒険』も奇怪でゾクゾクする話が大好きです。ハチャメチャに強い主人公と友情に熱い仲間たちが登場する梅澤春人『BOY』、伏線が秀逸で独特の余韻を残す岩明均『ヒストリエ』も好きな漫画です。

人生を方向づける本や感動を与えてくれる本は確かにあり、大切にしています。一方で読書はエンターテインメント。楽しめてこそ良書です。だから座右の書を挙げよと請われれば、漫画と答えることにしています。

(聞き手は編集委員 久保田啓介)

[日本経済新聞朝刊2019年5月18日付]

ビジネス書などの書評を紹介