Men's Fashion

ファビアナフィリッピ イタリア本社に製造集約

ブランド VIEWS

長く着られる「良い服」を

2019.5.30

イタリアの婦人服ブランド「ファビアナフィリッピ」が日本でのさらなる知名度向上に乗り出した。「メード・イン・イタリー」へのこだわりや、徹底した品質管理が人気を集め、日本進出から10年で売上高は約10億円に上った。第2段階として、今後は日本の需要に応じた商品を充実させるほか、販売員による提案力強化などで新規顧客の獲得を目指す。




「縫い目のないセーターなので着心地が良いんです。合わせるにはこちらのスカートでしょうか」。東京・銀座の「GINZASIX」内にあるファビアナフィリッピの店舗。販売員が来店客に対し、同店お薦めのセーターとのコーディネートを提案していた。

■イタリア本社のみでデザインや素材発注、製造

売り場は決して広くない。それでも、客一人ひとりにしっかり店員が提案できるよう、中央には低いカウンターを設置。客が気になった洋服を置けるなどスペースに余裕を持たせている。

ファビアナフィリッピは同名のブランドで世界約40カ国で展開し、2018年の世界売上高は前年比10%増の9200万ユーロ(115億円)。日本には09年に進出し、百貨店などを中心に20店を構える。18年の売上高に占める日本の割合は1割に上る。「日本が大切なマーケットになってきた」。創業者のマリオ・フィリッピ氏は話す。

特徴はイタリアのウンブリア州の本社に機能を集約している点だ。大手は販売拡大に伴い、製造拠点を世界各地へ分散することが多い。ただ同社は本社のみでデザインや素材の発注、製造を手掛ける。意思決定スピードを速め、すぐに製品化できるとの読みだ。

品質管理にもこだわる。通常、製造後に製品のキズや汚れを確認するが、同社は生地の納入段階からチェック。完成品は人の目で1品ずつ確認し、少しでもほつれがあれば職人が手直しする。アイロンがけや出荷前にも同様の作業を繰り返すという。