食中毒に注意 お出かけ弁当は水気きり冷まして
管理栄養士 今泉マユ子
新緑の季節は子供の遠足や運動会などでお弁当を作る機会が増える。ピクニックや潮干狩り、ハイキングなど、出かけた先でお弁当を食べることも行楽の楽しみの1つ。お弁当を時短で作れたら、負担感が少なくてすむのに加え、手軽に用意してより多くの場面で味わうことができてうれしい。
大きめのアルミカップに、鶏肉をキッチンバサミで一口大に切りながら重ならないように入れ、塩とこしょうをかけてトースターで10分焼くとお弁当のおかずが完成する。青のりやケチャップ、チーズをかけてから焼いてもよい。トースターで同時に複数個を調理できるので、別のアルミカップに冷凍ブロッコリーを入れて一緒に焼くと時短でつけあわせも用意できる。
ただ、これからの時期に気を付けなくてはいけないのが食中毒だ。お弁当は家で作って持ち運ぶため、作ってから食べるまでの時間が長い。十分に加熱されずに仕上げた料理や高温・高多湿は食中毒の主な原因になる。肉や魚、卵料理には特に気を付けてほしい。
食中毒は温度36度、湿度60%以上になると危険度が増すといわれる。蒸し暑くジメジメしている夏場に多く発生する。日中の気温が25度を超えて湿度が上がる5~9月は特に対策が必要だ。
お弁当のおかずで注意したいのは「中までしっかり火を通す」「水気をよくきる」そして「食材は冷ましてから詰める」の3点。野菜やおかずはキッチンペーパーで拭くなどして、汁気を減らしてから詰めよう。
おかずやご飯が冷めないうちに弁当箱に詰めてふたをすると、中に蒸気がこもるため細菌が繁殖しやすい状態になる。蓋の裏に水滴がつかないくらい、中身が完全に冷めてから蓋を閉めるようにしたい。
弁当箱を毎回きれいに洗うことも欠かせない。お箸や箸入れも念を入れて洗い、しっかり乾燥させることがとても大切だ。
「時短弁当は十分に時間をかけていないため、衛生面で不安では?」と思う人もいるかもしれない。実際はそんなことはない。例えば調理済みの缶詰を選ぶと、すでに火が通っているため衛生的かつ時短でおかずが作れる。時短のために火が通りやすい調理方法を選ぶことで、衛生面への配慮も実現する。
作ったおかずに肉汁や水気が出ていたら、弁当箱に詰める前に汁気を捨てたりキッチンペーパーで拭きとったりする。安心して楽しめる時短弁当を工夫してみよう。
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。
[日本経済新聞夕刊2019年5月14日付]
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