ただ、当初は充電サービスの提供を検討している企業がほとんどなかった。そこで、まず設備メーカーを口説くことにした。いくつかのメーカーに「通信機能を搭載した充電スタンドを開発してほしい」と打診したが、返ってきたのは「できない」という返事ばかり。メーカーは充電設備の技術はあるが、IT(情報技術)のノウハウが不足していたのだ。
「それならば通信機能はこちらで提供すればいい」。そう考えた鈴木さんは日本ユニシスの子会社に通信制御装置の開発を依頼。この装置を充電スタンドに組み込むアイデアを提案した。
現在では国内の主要メーカー約20社の充電スタンドがスマートオアシスに対応済み。EVの普及で充電サービスに参入する企業が増えるなか、対応製品の多さを強みの一つとして大口顧客の獲得につなげた。
MaaSに照準
鈴木さんの次のミッションは、スマートオアシスをMaaSの基盤の一つに育てることだ。そのためにもカーシェアリング事業者向けのシステムサービスも始めた。
充電スタンド向けで構築した認証や課金決済の仕組みを生かし、カーシェア用自動車の自動解錠や会員管理などの機能を提供する。すでに日産自動車などに採用された。鈴木さんは持ち前の行動力と企画力でMaaSでも最前線を走ろうとしている。
(中島募)
すずき・やすふみ
1999年に日本ユニシス入社、電力会社向けシステムの営業に配属。北海道電力や東京電力などを担当した後、2007年に新規事業の企画営業を任される。17年度には業績に大きく貢献した営業として表彰された。
1999年に日本ユニシス入社、電力会社向けシステムの営業に配属。北海道電力や東京電力などを担当した後、2007年に新規事業の企画営業を任される。17年度には業績に大きく貢献した営業として表彰された。
[日経産業新聞2019年5月9日付]