長旅では座って体を動かす 「ちょい運動」で血流促進
連休中に飛行機や電車で旅行を楽しむ一方、長時間の移動に疲れた人も多いだろう。立つことが難しい乗り物の中でも、座ってできる運動で効果的に体を守ることができる。覚えておいて、次の行楽に役立てよう。
座りっぱなしの状態が長時間続くと様々な健康リスクが高まる。立ったり歩いたりして脚の筋肉をよく動かせば、血液中の糖や中性脂肪をエネルギーとして消費する代謝が活発になる。座り続けていると代謝機能や血液の流れが悪くなる。肥満や糖尿病のほか、心臓や血管の疾患、がんなどの発症にも影響してくる。
座っていても、30分に1回立ち上がって3分くらい動くことが望ましいが、乗り物の中など難しい場面もあるだろう。その際、椅子に座った状態でもできる運動で体をしっかり動かしてほしい。
まずは、ウオームアップをかねて、背伸びと前屈で上半身を動かす。手のひらを胸の前で合わせ、息を吸いながら、ゆっくり背伸びする。続いて、軽く足を開き腿(もも)から脛(すね)にかけ手を添わせながら前屈。5秒程度ずつ2~3回行う。さらに、左右のお尻を交互に上げる「お尻上げ」で骨盤を刺激する。
体がほぐれたところで、脚の筋肉を動かして刺激する。体の中で筋肉の多い場所であり効果的に血流を良くする。簡単にできるのは「つま先・かかとの上げ下げ」。かかとを床から浮かし、足首を曲げてつま先をできるだけ引き上げる。その後、足首を伸ばし、つま先をゆっくり下げる。10回程度行った後、速いテンポで20回くらい繰り返す。
腿の内側と外側も刺激する。まずは両腿の外側に両手を添える。両手の間隔を保ったまま脚を外に開き、手に脚を押しつけるようにする。次は膝の内側に拳を入れて脚を閉じる。いずれも息をはきながら5秒程度で5回くらい行う。「片脚上げ」では、姿勢を保ちながら膝を曲げたまま腿を交互に上げ下げする。
もう少し体を動かしたい人は「腹筋刺激」もお勧め。腰をやや丸めた状態で両脚を引き上げて、ゆっくり下ろす。床に足がつかないようにすると効果的だ。
長距離の移動中など時間に余裕があれば「腹筋ウエーブ」に挑戦しよう。まず、みぞおちから恥骨につながっている腹直筋に意識を集中する。胃の上部をへこませ、波打つように下部へへこみを移動させる。上から下、下から上と往復すれば腹部、身体全体が温まってくる。
自宅にいてもテレビを見たりパソコンを操作したりして、長時間座りっぱなしになることもある。筋力アップにもつながるだけに、気軽に試してはいかがだろう。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)
[NIKKEIプラス1 2019年5月4日付]
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