骨が固まる難病「強直性脊椎炎」 新薬に期待初期症状は、朝起きた時の背骨や腰の痛み

埼玉県越谷市に住む男性も新薬に切り替えてから発疹の症状が消えた。「痛みもなく仕事に専念できるようになった」と喜ぶ。

昨年8月に病名が確定した都内に住む会社員の男性(49)も従来の薬の副作用で皮膚に異常があり、投与できなくなった。今年1月から新薬に切り替えたところこうした症状はなく、「首や背中の痛みも30%くらい減った」と感じているという。

人の細胞から分泌される物質の一つである「インターロイキン(IL)―17A」は強直の原因である炎症と強い関連があることがわかっている。

新薬を開発したスイスの製薬会社の日本法人ノバルティスファーマの免疫・肝臓・皮膚メディカルフランチャイズ部の谷裕美子部長は「新薬はIL―17Aの働きを阻害することにより、抗炎症効果を発揮する」と説明する。

患者は最初の1カ月間は毎週、以降は4週間間隔で皮下注射する。「投薬から16週後に30人中11人が背骨や腰の痛み、こわばりなどの症状が50%以上改善した」(谷部長)と有用性が見込めると強調する。

「まだまだ診断されていない患者がいるはず」というのは順天堂大学膠原(こうげん)病・リウマチ内科の多田久里守准教授。今後の診療について「過剰診断や誤診を防ぐことも重要。リウマチ科と整形外科医などの専門医がしっかりと連携していく必要がある」と指摘している。

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「病名確定に平均10年」 未成年も発症多く

ノバルティス社が2018年9月に強直性脊椎炎の診断を受けた患者103人にインターネットを通じてアンケートをしたところ診断されるまで複数の施設・診療科を受診した患者が7割以上を占めた。順天堂大の多田准教授らが実施した患者団体へのアンケートによると、「病名の確定診断まで平均して10年を要している」という。

症状はゆっくり進行するため、整形外科やリウマチ科、神経内科を転々とすることが多い。同社の調査では「椎間板ヘルニア」「ぎっくり腰」「座骨(ざこつ)神経痛」と診断されることが多かったという。

病名が確定できない理由は患者が痛みを医師に伝える際の苦労だ。同社の調査で、症状をうまく伝えられない理由(複数回答)について、「箇所がはっきりしない」が5割で最も多かった。「いつから症状があったか、よく分からない」「(痛みが)弱かったり強かったりする」と答える患者も3割以上いた。

発症は中高生も多く、初期症状は朝起きた時の背骨や腰の痛み、成長痛として間違えられやすいという。多田准教授は「若くして発症した腰痛で、運動したら軽くなる場合には強直性脊椎炎を疑い、リウマチ専門医を受診してもらいたい」と話す。保護者らも成長痛と見過ごさず、注意を向けておく必要がある。

(近藤英次)

[日本経済新聞朝刊2019年4月29日付]

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