NIKKEIプラス1

リラックス効果に加え、樹木が発する成分そのものが体を健康にする。日本医科大学付属病院(東京・文京)の医師で森林医学研究会代表世話人の李卿氏によると、森林の樹木が発する香り成分「フィトンチッド」の作用によって免疫機能が高まる。フィトンチッドに触れることで、体内でがん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞が増えることが確認されている。

宮崎氏の研究では、森林浴の効果は、人それぞれ異なった形で表れる。例えば森を歩くことで、血圧が高い人は下がり、低い人は上昇する。体が本来の健康な状態に向かうもので「生体的調整効果」と呼ばれている。宮崎氏によると、森林浴でこの効果が確認されている。しくみの解明が進めば、生活習慣病の改善や予防への利用が期待できる。

こうした森林浴の効果を十分に引き出すには、「自分にとって何が最も心地よいのかを探すことが重要」と宮崎氏は強調する。深呼吸、ストレッチ、瞑想(めいそう)、樹木に触れる、景色を楽しむなど、一番くつろげることを思う存分に行うことでリラックス効果がより高まるためだ。

森林浴はくつろぐことが目的だけに、激しい運動は避けた方がいい。散策なら成人で「2~4時間で2.5~5キロメートル」を目安にして、「体力に合わせ無理のないスケジュールを立てること」(李氏)が大切だ。

森林浴で得られる効果は少しずつ減りながらも、2泊3日の行程であれば1カ月程度、日帰りなら1週間程度持続する。ただ、定期的に出かけられるとは限らない。そこで、森林浴の効果を、日常の暮らしである程度取り入れる方法がある。李氏によると、都市部でも公園や寺社などちょっとした緑のある身近な自然環境に身を置くことでも緊張感や疲労感が緩和され、心身が活気づく。

宮崎氏によると、自宅やオフィスで観葉植物や切り花を飾ったり、無垢(むく)の木材の家具を置いて触れたりすることでもリラックスするという。森林浴で心地よいと感じたことを日常の暮らしのなかに取り込めばいい。

この季節、まずは森林浴や身近な自然に親しんでみよう。

(ライター 田村知子)

[NIKKEIプラス1 2019年4月27日付]

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