ヘルスUP

病気・医療

若いがん患者の勉強・仕事 行政や企業で支援の動き 病院で授業/治療費に補助

2019/4/24付 日本経済新聞 夕刊

がん治療と仕事の両立で大事なことに医師と企業のコミュニケーションがある。例えば医師が大腸がん患者の勤務先に留意点として「下痢や倦怠(けんたい)感がある」と伝えても、企業側は対応策がわからない。「1日5~10回、トイレに離席する可能性がある」と伝えれば企業は配慮しやすい。

企業の制度を社員に周知することも課題だ。渡部さんは自分の会社に病気などに備えて有給休暇を積み立てておける制度があることを知らなかった。「もっと多く有休を取れるとわかっていれば薬の選び方も変わったかもしれない」。この経験から治療と仕事の両立を図るためのハンドブックを作成し、社員への研修や周知を進めている。

◇  ◇  ◇

■妊娠の不安にも配慮必要

AYA世代の治療では、放射線治療や薬物投与などが生殖機能に影響し、妊娠しにくくなるリスクへの対応も重要だ。広島県や岐阜県などは将来を見据えて治療前に卵子や精子、受精卵を凍結保存する「妊よう性温存」の費用を助成する制度を設けた。

若年性乳がん体験者の支援団体「ピンクリング」の御船美絵代表は「診断から治療までの限られた時間のなかで、患者にとって妊娠・出産に関わる意思決定は容易ではない」と心理的な負担を指摘する。

がん専門医は治療を最優先するため、リスクの説明が不十分なまま治療を始め、患者が妊娠を希望するようになって初めて生殖機能の低下を知る例もあるという。御船代表は、妊よう性温存をするのかどうかを患者が納得して決められるよう「専門家による支援も確立してほしい」と話す。

(新井惇太郎、佐藤初姫)

[日本経済新聞夕刊2019年4月24日付]

ヘルスUP 新着記事

ALL CHANNEL