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若いがん患者の勉強・仕事 行政や企業で支援の動き

病院で授業/治療費に補助

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NIKKEI STYLE

「AYA世代」と呼ばれる10~30代の若いがん患者に対する行政や企業の支援が広がり始めた。進学、就職、結婚、出産など人生で重要なイベントを迎える時期だけに、治療と両立できるようにする支援策が必要との判断からだ。厚生労働省は小児がん治療の拠点病院に教育支援などを求めた。企業でも有給休暇や勤務時間の仕組みを見直す動きが出ている。

AYA世代は思春期(Adolescent)と若年成人(Young Adult)から作られた言葉。小児から成人への移行期にあたる主に15~39歳の患者を指す。国立がん研究センターによると、この世代のがん発症者は年間に約2万人と推計される。成長・発達段階でがんを発症すると身体的な負担だけでなく、進学、就職、結婚といった人生で重要なイベントと治療を両立する負担も重い。

厚労省は2018年7月、AYA世代の患者には就労や教育、心理的なケアなどへの対策が必要との考えから、地域で子供のがん診療の中心となる「小児がん拠点病院」の指定要件を見直し、患者への相談支援の実施などを追加した。

その拠点病院の一つである東京都立小児総合医療センター(東京都府中市)は教育に力を入れている。

入院中の小中学生は病院内にある特別支援学校の分教室で授業を受けられる。中学生には9人の常勤教員が9教科を教える。病院が治療方針を検討する週に1度の会議には専門の教育コーディネーターが参加し、主治医に「体育の授業でどこまで運動させてよいか」といった相談をするので、患者の病状にあわせた授業ができるという。

退院して通院治療に切り替わり、患者が元の学校に戻る際には、復学先の学校側と話し合う会議を開く。容体が悪くなる兆候や学校生活での対策など注意点を学校側に伝える。

分教室で対応できない高校生への支援には課題も残る。教育コーディネーターの古畑晴美さんは「高校生は1年近い入院治療で退学を余儀なくされることもある」と話す。ただ私立高校では復学を約束される例も増えているという。

経済的な蓄えが少ないことも多い若年成人にとっては、仕事を続けながら治療を受けることができるかどうかも大きな問題だ。

「30歳代では経済的な余裕もなく、通院しながら働ける抗がん剤を探した」。ヘリコプター輸送などの事業を手がける朝日航洋(東京・江東)に勤める渡部俊さんは12年、30歳の時に大腸がんと診断された。

手術後に医師に勧められた抗がん剤は副作用が重いので、欠勤が多く収入が大きく減ってしまう。そこで、比較的副作用が軽く、仕事ができる薬を探した。

治療と仕事を両立できるよう社内制度を工夫する企業は増えてきた。伊藤忠商事が患者に先進医療費を補償するほか、テルモは勤務時間を最大で2時間ずらせる時差勤務などを取り入れた。順天堂大学医学部の遠藤源樹准教授は「これまで患者側から辞職を申し出ることが多かったが、変わり始めている」と話す。

 がん治療と仕事の両立で大事なことに医師と企業のコミュニケーションがある。例えば医師が大腸がん患者の勤務先に留意点として「下痢や倦怠(けんたい)感がある」と伝えても、企業側は対応策がわからない。「1日5~10回、トイレに離席する可能性がある」と伝えれば企業は配慮しやすい。

企業の制度を社員に周知することも課題だ。渡部さんは自分の会社に病気などに備えて有給休暇を積み立てておける制度があることを知らなかった。「もっと多く有休を取れるとわかっていれば薬の選び方も変わったかもしれない」。この経験から治療と仕事の両立を図るためのハンドブックを作成し、社員への研修や周知を進めている。

◇  ◇  ◇

妊娠の不安にも配慮必要

AYA世代の治療では、放射線治療や薬物投与などが生殖機能に影響し、妊娠しにくくなるリスクへの対応も重要だ。広島県や岐阜県などは将来を見据えて治療前に卵子や精子、受精卵を凍結保存する「妊よう性温存」の費用を助成する制度を設けた。

若年性乳がん体験者の支援団体「ピンクリング」の御船美絵代表は「診断から治療までの限られた時間のなかで、患者にとって妊娠・出産に関わる意思決定は容易ではない」と心理的な負担を指摘する。

がん専門医は治療を最優先するため、リスクの説明が不十分なまま治療を始め、患者が妊娠を希望するようになって初めて生殖機能の低下を知る例もあるという。御船代表は、妊よう性温存をするのかどうかを患者が納得して決められるよう「専門家による支援も確立してほしい」と話す。

(新井惇太郎、佐藤初姫)

[日本経済新聞夕刊2019年4月24日付]

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