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災害時の非常食、乳幼児や高齢者は2週間分の備えを

支援物資の栄養に偏り

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NIKKEI STYLE

赤ちゃんや高齢者、持病がある人の、災害時の食事が重視されるようになった。災害から逃れたものの避難所で必要な食事ができずに命を落とすことが多いからだ。こうした災害関連死をなくすための食の手配など公助の体制もできた。だが、南海トラフ地震など広域災害では公助にも限界がある。自助の備えが防災の基本となる。

2011年3月11日の東日本大震災の直後、避難所の体育館での出来事。1週間前後で支援物資が届き始めたが、冷たいおにぎりと菓子パンが中心だった。冷めて固くなったおにぎりは飲み込む力が弱い高齢者にはつらい。炭水化物ばかりだと栄養も偏る。80代の男性は寝たきりになり、体力と免疫力が急低下した。さらに食欲もなくなり、4月のある日、脳卒中で病院に運ばれそのまま亡くなった。

偏った食事で栄養不足になると口内炎ができることが多い。災害から1カ月たつと脳血管疾患で倒れる高齢者が急増する。避難所での口内炎は健康悪化による災害関連死に至る危険信号だ。塩分の多い缶詰食も一因となる。赤ちゃんや食物アレルギーの人も、支援物資だけの生活を長く続けると命に関わる。

こうした偏った食による災害関連死を防ぐため、農林水産省は家庭備蓄のガイドを作り3月に公開した。一般向けに加え、乳幼児や高齢者ら災害時に特別な対応が必要になる「要配慮者」向けを用意した。一般向けの備蓄量の目安が1週間なのに対し、要配慮者は「少なくとも2週間分」を推奨している。

ガイド作りの中心となった、医薬基盤・健康・栄養研究所が昨年新設した「国際災害栄養研究室」(東京・新宿)の笠岡宜代室長は「個々の要配慮者に必要な食事は2週間は手に入らない可能性があることを知ってほしい」と話す。

 東日本大震災をきっかけに、日本栄養士会は要配慮者向けの食料を避難所に届ける「特殊栄養食品ステーション」を被災地で設置している。16年の熊本地震の時には県庁などに複数設け、アレルギー対応食や高齢者向けのおかゆを栄養士チームが届け、食べ方など個別の支援をした。この仕組みによって熊本ではアレルギーの事故がなかったといわれる。チームリーダーも務める笠岡さんは「ステーションの仕組みがあることを、要配慮者自身と自治体の担当者にもぜひ知ってほしい」と訴える。

18年8月には、厚生労働省令が改正され乳幼児向けの液体ミルクが認められた。すでに江崎グリコと明治が商品化している。常温保存ができ、清潔な水も必要ないため、赤ちゃんを抱えた避難者には朗報だ。

要配慮者には外国人もいる。イスラム教の戒律に沿う豚肉を使わない「ハラル認証」を取得した食品も増えている。災害食大手の尾西食品(東京・港)はハラル対応に加え、小麦、そば、卵など27種類の特定原材料を使わないアレルギー対応食をそろえている。同社の小林昭彦取締役経営企画部長は「災害直後のパニック状態では食品を仕分けして配布することは困難。だからこそ、誰でも安心して食べられる災害食を増やしていきたい」と話す。

災害規模が大きくなるほど自分で備える自助が大事になる。日本災害食学会の別府茂副会長は「災害による直接死を防ぐ対策はわかりやすい。しかし、災害関連死の対策を考えておかないと『助かってよかった』とは言えない。防災には、生き残った後の食生活も含まれる」と指摘する。

◇  ◇  ◇

避難生活 公助に限界

政府が想定する最悪のシナリオでは、首都直下地震の避難者数は東日本大震災の15倍の720万人。南海トラフ地震は950万人で、日本人の13人に1人が避難生活を強いられる。自治体は災害食の備蓄を強化しているが公的支援には限界がある。だからこそ自助が大事になる。

政府は3月、南海トラフ地震が発生する可能性が高いとして「臨時情報」を出した際の、自治体などの防災対応の指針を公表した。津波が到達する沿岸部では1週間の避難を求めたが、注目すべき記述がある。「避難所は避難者が自ら運営し食料や生活用品は各自で準備する」

地震発生前でも1週間の食料確保が前提。健康面の2次被害は自ら防ぐ覚悟がいる。東日本大震災の際に、政府が被災地に送れた食料は最大で1日150万食だった。

(大久保潤)

[日本経済新聞夕刊2019年4月17日付]

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