女性人気、ジムとランドリー併設コンビニ 東京・大田
ファミリーマートは2月、東京都内のコンビニエンスストアの敷地内にコインランドリーとスポーツジムを開いた。ジムとランドリー、コンビニの3つを組み合わせた店舗は初めて。コンビニでは既存店の集客力が低下するなか、異業種サービスの拠点となることで新たな利用者を呼び込む狙いだ。
東京都大田区の多摩川沿い、国道15号(第一京浜)から1本裏手に入った場所に「ファミリーマート仲六郷第一京浜店」が立地する。2013年にオープンした同店の敷地内に2月末、スポーツジムとランドリーが設けられた。いずれもファミマが運営する。
コンビニの店舗は2階建てで、1階のファミマの上にジム「Fit&GO(フィット・アンド・ゴー)」が設けられている。筋力トレーニング用のマシン25台が並ぶ。会員制のジムで、入会金は不要で月額の利用料金は税別7900円。
フィット・アンド・ゴーは18年2月に1号店を出店し、同店で3店目。1号店ではジムを利用した客の半数超がコンビニでも買い物をしているという。利用客層も若く、ジム利用客の8割を20~40歳代が占める。
このジムとコンビニが一体となった建物のすぐ隣にあるのが「ファミマランドリー」だ。洗濯乾燥機を大小4台、このほか洗濯機1台、乾燥機2台などをそろえる。
ランドリーもジムと同じ18年から展開。18年3月末に1号店として、千葉県市原市でファミリーマートの敷地内にランドリーを併設。同年5月には都内にコンビニとランドリーの一体型の出店も始めた。ファミマランドリーは現在までに7店を展開している。
ランドリーをコンビニに併設する狙いも集客。同社によると「雨の日はランドリー利用者が約5割増えている」という。1日平均の利用者は50人前後で、このうち6割近くがコンビニも利用しているという。ファミマでは女性客が5割弱だが、ランドリーの利用者の8割が女性で、効果が出始めている。
コンビニの店内は、ジムとランドリーを併設するのに合わせて改装し、イートインを新たに設けた。このほかついで買いを促そうと、ジムやランドリーに関連性の高い商品をそろえた。洗剤やしみ取り商品など約20品のランドリー関連品と「プロテイン」など約350品のフィットネス商品を扱う。
コンビニでは客数が長期にわたり伸び悩む。18年の既存店売上高は2年ぶりにプラスとなったが、客数は3年連続で前年を下回った。客数減が売り上げ拡大の重荷となる一方、店舗を運営するフランチャイズチェーン(FC)加盟店が負担する人件費は上昇を続け、人手不足もあって24時間営業を見直す声も上がり始めている。
集客力の底上げが待ったなしのなか、ファミマはランドリーを19年度末(20年2月末)、ジムを22年度末にそれぞれ300店体制に引き上げる。ジムとランドリーの双方を初めて併設した同店で客数をどの程度伸ばせるのか。異業種コラボ店の本格展開に向けての試金石となる。
(今井拓也)
[日経MJ 2019年4月10日付]
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