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24やミストレス… 海外ドラマ、日本版にリメーク

2019/4/8付 日本経済新聞 夕刊

4月19日から放送のドラマ「ミストレス」の一場面

欧米で大ヒットしたテレビドラマの日本でのリメークが相次ぐ。「柳の下のどじょう」と単純ではないが、来年は本命のアクション作品「24」も登場。放送局がリメークにかける背景を探る。

医師、主婦、会社員、金持ちのお嬢様。接点のなかった4人の女性が偶然出会い親しくなる。女子会を開いては、鬱憤を晴らす日々。だが4人とも不倫や同性愛など、他人には言えない秘密を抱えていた――。

NHKは19日夜10時から「ミストレス~女たちの秘密~」(全10話)を毎週金曜に放送する。原作は英国放送協会(BBC)の「Mistresses」。既にシーズン3まで制作されたヒット作で、米国、ロシア、スロバキア、韓国でもリメークされた。

NHKはシーズン1のリメーク権を購入。BBCからは肝となる4人のキャラクター、友情の設定を守るように指示されたという。制作統括の後藤高久氏(NHKエンタープライズ)は「原作で起きる事件や出来事は全て残した。社会、文化的背景が異なる場面を、日本で受け入れられる形にどう置き換えるか。工夫のしどころだった」と話す。

■違いどう描くか

原作では、尊厳死を選択した患者に医者がモルヒネを投与するシーンがある。尊厳死が法的に許されない日本で同じことをすれば殺人ほう助の罪に問われる。「国の制度の違いから同様に描けない難しさはあるが、逆に言えば原作にない面白さを引き出せる」。どう改変したのかは本編を見てのお楽しみだが「こうした場面こそが腕の見せどころ」と語る。

2017年の「ごめん、愛してる」(TBS系)、18年の「シグナル 長期未解決事件捜査班」(フジテレビ系)など韓国ドラマのリメークは続くが、欧米発の作品の人気は根強い。民放キー局のあるドラマプロデューサーは「海外で大ヒットすれば知名度は高く、社内で企画が通りやすい」と打ち明ける。「面白さは折り紙つき。大失敗はしないだろうとの計算も働く」

視聴率は堅調だ。TBS系が1~3月に放送した「グッドワイフ」は、米CBSの「The Good Wife」が原作。平均視聴率はわずかに10%を下回ったが「物語の骨格がしっかりしていた原作を、日本社会になじんだ作品に仕上げられた」(編成担当の伊佐野英樹取締役)。

■視聴率2桁も

18年10~12月には、フジテレビ系が織田裕二の10年ぶり「月9」主演で話題になった「SUITS/スーツ」を放送。苦節7年の交渉でドラマ化にこぎ着け、平均視聴率10.8%と2桁を記録した。米ニューヨークの大手法律事務所を舞台にした原作は、11年からUSAネットワークで放送中の人気作。現在はシーズン9に突入している。

ただ、日本の放送局側は「大成功を見込むのも難しい」とみる。「オリジナルより制作費が少ない日本版はどうしても見劣りする」ためだ。動画配信の普及などで海外ドラマを視聴する環境が整い、原作と見比べやすくなった。

リメークの難しさも指摘される中、2000年代の海外ドラマ人気の火付け役ともいえる「24」を20年にテレビ朝日が手掛けることが決まった。米連邦機関の捜査官ジャック・バウアーが凶悪なテロと戦う姿を、リアルタイム(24話全24時間)でとらえたスタイルは斬新と評価され、日本でも熱心なファンが多い。

日本版「24 Japan」もリアルタイムで進行する。原作は米国初のアフリカ系黒人大統領の誕生まで描いたが、日本版は初の女性首相の誕生に置き換える。キャスティングは未発表で「年内には撮影に入る」(早河洋会長)。原作のような銃撃戦は、日本ではリアルとはいえず「日本の制度や文化に基づいた脚本になるよう準備中」という。

バウアーはコントや物まねのネタにもなったほど、お茶の間に浸透した。吹き替えの声優、小山力也にとっても当たり役となった。果たして日本版バウアーは誰なのか。堺雅人、西島秀俊、鈴木亮平らの名が挙がっており、キャストの予想はリメークの最大の楽しみともいえる。

(近藤佳宜)

[日本経済新聞夕刊2019年4月8日付]

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